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【interview】応援メッセージ:女優・エッセイスト 黒柳徹子 さん


~トットちゃんからのメッセージ~

「気にいったわ」

あなたがそう思える居場所に出会ってください

女優・エッセイスト
黒柳 徹子 さん

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『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)は1981年の発売以来、世界中で読まれ続けている、黒柳徹子さんの自伝です。本の中には黒柳さんこと、小学生のトットちゃんが、通っていた小学校を1年生で退学になってしまったあと、新しく通うことにしたトモエ学園での楽しい日々が描かれています。トモエ学園は廃車になった電車車両を教室として使用していたり、自分の好きな教科から勉強ができたり、10人以下の少人数で授業が受けられるような素敵な学校でした。「もしあの学校に出会っていなかったら、きっと私はすごくビクビクした大人になっていたかもしれない」。黒柳徹子さんはそう話してくれました。※この記事は『全国フリースクールガイド 小中高不登校生の居場所探し2017~2018』(2017年1月発売)に掲載されたメッセージです。

天真爛漫なトットちゃんは
小学校を1年生で退学に!

―トットちゃんこと、黒柳さんの子どものころのことを教えてください
 もともと家の近くの小学校に通っていて、1年生を3か月ぐらい過ぎたころに退学になったんです。
 なんで退学になったかというと、『窓ぎわのトットちゃん』にも書いてありますが、小学校にチンドン屋さんを呼び込んだり、おもしろがって机のフタを(昔の学校の机は上に開いたから)授業中に百回ぐらい開けたり閉めたりしちゃったの。つばめが巣を作って、行ったり来たりしているのを見て、授業中に窓から身を乗り出して「何してるの」「何してるの」と何度もつばめに聞いたりもしたらしい。それで母が先生に呼び出されたんです。先生は「私も子どもの気持ちがわからないわけじゃないですから、つばめに『何してるの』と聞いてもいいけど、授業中に聞くことはないんじゃないですか」って、本当におたくのお嬢さんには困っているということを母に言ったそうなんです。それでその学校は辞めることになり、新しい学校に行くことになりました。でもそれがかえって良かったんです。

「君は本当はいい子なんだよ」
小林校長先生との出会い

 私が次に行ったトットちゃんの学校…トモエ学園では本当に素晴らしい校長先生…小林宗作先生にお会いしたんです。小林先生は「君は本当はいい子なんだよ」と毎日言ってくださいました。それで私は自分では「私は、いい子なんだ」とずっと思っていたのですけど、大人になってよく考えてみたら「本当は」っていうのが入っていたなと(笑)。
 小林先生がすごいのは、最初に学校に行った日に「何でも話してごらん」とおっしゃってくださったことです。6歳の私は、喜んで本当にいろんなことを話しました。話がもうなくなってしまい、校長先生に「もうない」と言ったら、「じゃあ、みんなと弁当を食べに行こう」と先生が言ったので、学校に着いた朝8時ごろから12時ごろまでの4時間にわたって、私のお話を聞いてくださったみたいなんです。そのとき私は6歳でも、小林先生を「いい人だ」と思ったの。

自分らしく過ごせる居場所
トモエ学園でイキイキ過ごした日々

 トットちゃんの学校は、人数の少ない学校で全校生徒50人、私のクラスは8人でした。校庭に電車の車両を並べていて、それが教室でした。その教室を見たときは本当にうれしかった。
 一番楽しかったのは、自分の好きなところから勉強していいっていうやり方。1時間目は何、2時間目は何という決まりはなくて、先生が用意してくれた問題を自分の好きなところから勉強していいんです。お昼までに全員が全部できちゃうと、お弁当を食べて、みんなで3時間ぐらい散歩したり、お寺に行って仏像のことを先生から習ったり、畑でおしべ・めしべとか、チョウチョのことを習ったり、そういうのがとても楽しかった。やっぱり楽しいことがあったら、子どもはよそ見なんてしないで一生懸命取り組むのでしょう。

子どもは大人が思っているより
よくわかっているんです

―『窓ぎわのトットちゃん』ではトットちゃんのお母様がいつもトットちゃんを温かく見守っていますね
 うちの母は本当に子どもの気持ちがよくわかる人でした。私が退学になったことも、20歳になったときに初めて教えてくれたんです。6歳のときに「退学になったのよ」なんて言わないで、「違う学校に行ってみましょう」と言ったそうなんです。そうしたら、私が性懲りもなく、「そこ、チンドン屋さん来るかな」と聞いたと言っていました。一度そのせいで退学になっているのに!
 でも、もしそこで「退学になった」と母から言われたら、トットちゃんの学校に行ったときに、電車の教室を見ても、やっぱりうれしくなかったと思うんです。「みんな、私が退学になったこと知ってるかな?」とか思って。でも、母はそうは言わなかったです。
 私、母にしても校長先生にしても、子どもを一人の人間として接してくれる大人に囲まれて育ったんですよね。
 トットちゃんの学校には、体に障がいを持った子どもが何人もいましたけど、「助けてあげなさい」なんて先生は一回もおっしゃいませんでした。「一緒にやるんだよ。みんな一緒だよ」とそれだけ。だから、みんな一緒にずいぶん遠くまで電車に乗ったり、船に乗ったりして、いろんな所に旅行しました。いつも一緒に同じことをするんだから、体に障がいのある子たちとどういうふうに接して、一緒に暮らせばいいか、先生がいちいち言わなくても、自然とできました。子どもって大人が思っている以上にいろんなことをわかっているものなんです。

いっぱい褒める
そうしたら子どもは元気になる

 個性的な子ほど仕事をやったときにうまくいくかもしれないから、ほかの人にない個性を持っている子はそこを伸ばしてあげて欲しい。ほかの人と違うからだめだと否定しちゃうのは、本当に良くないわ。子どもにとって一番がっかりしちゃうことは、否定されることでしょ。小さいときから、何をやっても「いけない」と言われれば、自分が愛されてないと思い、自信もなくなると思います。
 私も、もしあのまま元の小学校と同じような学校に行ったら、またどうせそこも出されたに違いないから、たらい回し状態になって、何をやっても「いけない」と言われて、本当にびくびくした大人になったと思うんです。

―この本を手に取る読者にメッセージをお願いします。
 まずお母さんたちには、小さいときは褒めることが絶対大事です。「すごいじゃない」「そんなことできるんだ」「あなた、そんなことわかってるなんてすごいじゃない」って。いいところを褒めれば、子どもは元気になっていくと、私はそう思います。
 子どもたちが、いじめられたり、嫌なことをされているときには、否が応でも固執してそこにいようとしないで、やっぱり学校を変わるとか、フリースクールに行くとか、嫌なことをする人たちから離れてみるのも悪くないと思います。いじめられている子は、親にもなかなか言いにくいと思うんですよね。心配かけちゃいけないだろうと思って。だけど親に話すなり何なりして、自分の居心地の良い所に行った方がいいと思います。
 そうかといって、勉強していないと、将来大人になったときに困るから、ある程度の勉強はしておかないと。ある程度勉強しておけば、いつか自分のやりたいことや好きなものが見つかるかもしれない。そうしたら好きなものをうんと勉強すればいいんだし、そのためにフリースクールで勉強したり、友達をつくってもいいじゃない。

UNICEF親善大使として

 黒柳徹子さんは、女優やテレビのパーソナリティとして活躍する一方で、長年、UNICEF親善大使として世界の子どもの権利を推進する活動に尽力しています。
 黒柳さんは本インタビューで親善大使としての活動について、「自分たちは食べる物もきれいなお水もいっぱいあって飲んでいるのに、泥水みたいなのを飲んだり、親がいなかったり、子ども兵士にさせられたり、食べる物もなかったり、そういう子どもたちがいるっていうことはやっぱり残念なこと。ユニセフの事を始めて30年以上になりましたが、未だに子どもたちは何も悪いことをしていないのに辛い環境にいます。できることならそういう子たちを減らせればと思うから、小林先生の言っていたように「みんなで一緒に」やっていこうと思いました」と話してくれました。

© UNICEF South Sudan/2013/Knowles-Coursin

© UNICEF South Sudan/2013/Knowles-Coursin

© UNICEF/NYHQ2011-0537/Steinlechner

© UNICEF/NYHQ2011-0537/Steinlechner

黒柳徹子さんのUNICEF親善大使としての活躍はunicefのページをご覧下さい。


黒柳徹子(くろやなぎてつこ)さん
東京乃木坂生まれ。大田区の洗足池の近くで育つ。トモエ学園から、英国系ミッションスクール香蘭女学校を経て、東京音大の声楽科を卒業。絵本や童話を上手に読めるお母さんになりたくて、NHK放送劇団の試験を受け合格。テレビ女優の第一号となり、放送の中で育つ。「ヤン坊ニン坊トン坊」「魔法のじゅうたん」など子どもむけ番組も多い。その間、劇団文学座の研究所、ニューヨークのメリー・ターサイ演劇学校などで学ぶ。商業演劇、新劇などの舞台出演も多く、また定期的にステージのワンマンショウも催す。第一回放送作家協会女性演技者賞、日本女性放送者懇談会大賞、文化功労賞など、賞は多数。

出典『全国フリースクールガイド 小中高不登校生の居場所探し2017~2018』
(発行:学びリンク)