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東京製菓学校は、製菓系の専門学校では最も伝統のある学校の一つですね。

 1953年に創立、翌年に開校しました。敗戦後の食料難の時代でしたが、栄養のあるパンやお菓子を作る人を育てることが、将来の日本の食生活、 食文化に必要だという使命感を持ってこの学校を創立しました。
現在は昼間部と夜間部をあわせて666人の学生がいます。お菓子やパン屋さんの子弟が約2割ですが、お菓子やパンを作るのが始めてという学生が大多数です。昔は徒弟制度で10年かけてやっと手に入る技能を、当校では和菓子と洋菓子は2年、パンは1年で十分修得できるようにしています。
女性の志願者が多くなってきたのもここ近年での業界の特徴です。女性の一番多く入っている洋菓子がある程度伸びているからだと思います。

通信制高校からも入ってくる学生はいますか?

いますがまだ少ないです。その年に2,3人いれば多いほうでゼロということもあります。

東京製菓学校の特徴を教えてください。

 2年で2880時間、パンは1年コースなので1440時間授業があり、朝の8時半から午後4時半までの時間のうち、8割を実習に当てています。実習の時間が他の学校に比べて多い技能中心の授業です。
 また、いずれの教師もどこに出しても恥ずかしくない一流の技能を持っています。各種のコンテストで上位入賞する講師陣で、お店でずいぶん働いてきた経験豊かな人もおりますし、洋菓子ではヨーロッパ、和菓子では京都で研鑽を積んできてうちに来た人もいます。
 レシピは非常に大事で、各教師が創意工夫していいレシピを用いています。しかも当校の一つの特徴は、レシピを印刷して渡すことはしないこと。黒板に書き、学生はそれを全部ノートに記し、プロセスを自分の手でノートに刻むので、自分が書いたノートが宝になります。授業では教師と学生が対話し、教師の範技を学生がよく見て質問し、実際に実習します。お菓子やパンを作るレシピやプロセスの内容をしっかり理解させています。
 実習がよい、先生たち熱心で授業が分かりやすいと、体験入学に来た高校3年生は異口同音に言い、それに感動して入ってくる人もいます。また、教師は授業のほかに、実習面や人間関係で悩みを抱える生徒に個別に指導し、電話をかけたり、体調を崩している生徒にアプローチしたりしています。教師の技術面とは別の熱意の表れだと思っています。

国や企業からも、学校に対して高い評価を受けていますね。

 厚生労働省の認定している技能検定があり、昼間部、夜間部問わず、卒業すれば2級の受験資格を全員取得します。本来ですと2級の受験資格を取得するのは卒業して2年かかるのですが、当校では実習時間が多いので国から認定を受けております。それだけの基盤がこの学校の学生にあるという部分で、2級を取る以前に各企業から当校のレベルの高さは認知されています。さらに卒業生が業界で働いていることで信用は非常に大きくなっています。

700社から1800~2000人の求人が来て、就職率は100%となっていますね。

 求職者に対して求人数が9~10倍ありますから、行かない店のほうが多いくらいです。求人企業数は年々上がっています。上質の品物を提供しないとお客さんのニーズを満たせなくなっているので、お客さんのニーズに応えて競争に勝つための人材や技術者をお店や企業が必要としているのだろうと思います。

授業以外に生徒に意識してほしいことはありますか?

 お菓子は嗜好品ですから、心のゆとりと相対しています。人が集まってお菓子を食べながらくつろぐ演出をする、というように大事なものです。今は個食が進んで食事を一緒にする機会が減り、食「事」ではなく食「餌」になってきています。
また年に1回、学生にピアノのライブ演奏を聴かせます。非常に熱心に聴きます。それはお菓子を作ることと音楽を作ることには創造するという点で共通点があるからです。おいしい、形がある、香りがあるというのは一つの感性です。

実際に職人になるとパンなどは朝早くから働くことになりますが、ここでの職業観のイメージと実社会での仕事の現実はうまくつながっているのでしょうか。

 セミナーハウスに各クラス約20人で行き、先生自身の体験談を話す機会がありますが、学生にものすごく刺激になっています。現実は甘っちょろいものではないという厳しさを単に話すのではなく、一緒に生活にしながら話し合って理解させています。

そういう過程で人間として育てていくということですね。

 それが技能教育、人間教育だと思います。創立以来のモットーは「菓子は人なり」。初代理事長は人間がお菓子を作る以上、人間そのものの形成が非常に大事だと着眼されていました。教師たちによく言うのは、教えると言うことは自分が学ぶということだと。教える立場になってはじめて自分が学ぶということを自覚することになるのだと思います。教えることは日々研鑽しなければならないということです。

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