「男ならホラの一つも吹いてみろ」と言われます。人間、生真面目だけで面白くありませんからね。
というわけで、新春第一弾は、「ホラの効用」についてです。
ここ数年、私は、何かめずらしい物や素晴らしい物を目にすると、側にいるスタッフに、すぐに「買(こ)うたろか」という口癖があります。これもホラの一つです。
北海道の知床を旅していて、
「センセ、ここ、世界遺産になったんですってね。雄大ですね」
「買うたろか」
新幹線で富士山の前を通ると、
「やっぱり、富士山はスゴイですね」
「買うたろか」
こんな具合です。こんな見え見えのホラ、本気にする人はいませんよね。無視の連続です。
にもかかわらず、あちこちで連発しないと効用にまでたどり着けません。
五年前に、十数人のスタッフを同行して、故郷(ふるさと)の尾道に帰ったときのことです。向かいの島の山の頂上から四国の方に目をやると、前方に大小の無人島が見えました。
「ウワー、キレイ。いいですねー」
一同、いっせいに奇声を発しました。反射的に私が「買うたろか」と応じたものですから、座はシラケてしまいましたが……