「あくび」(二〇〇一.七)

 まずは、次の歌詞を口ずさんでみてください。
 
 あくびがでるよ あーあーあーあー
 あくびがでるよ あーあーあーあー
 あくびのときは のどがいっぱい ひらきます
 あーあーあーあーあー  あーあーあーあー

 悠長(ゆうちょう)というか、人を小馬鹿にしたような歌でしょ。しかしこれは、皆さんを愚弄(ぐろう)するために、私がにわかに創ったものではないのです。れっきとした名のある、多くの心ある人々が口にしている歌なのです。
 正式名は、「合唱指導実際・第二章楽しい発声のドリル」で、岩河三郎氏が作詞作曲したものです。あちこちにある合唱団の人たちが、練習の前に、ノド慣らしのために必ず歌うものらしいです。
 私が、この変なというかとぼけた歌を初めて耳にしたのは、去年の初夏です。場所は、道東の屈斜路湖畔にあるある「屈斜路湖プリンスホテル」の裏庭の広い芝生の上でした。
 私たちは、毎年、夏が始まろうとするころに、ここで一ヶ月の合宿をします。米国の大学に留学を志す新入生たちが、先輩留学生たちとここで合流し、特訓を受けて渡米するのです。
 新入生たちは、歓迎会で、ご挨拶がわりに何か出し物を披露するのが習わしになっています。
 二十期生目になる新入生十二名が、そこでこの「あくび」の歌を大合唱したというわけです。
 予想外に、大ウケでした。のどをいっぱいに広げて大真面目に歌う新入生たちに、先輩たちは惜しみない拍手を送っていました……



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