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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校の“今” ②
中学からの進学者と転編入学者

 2021年10月1日
 

◇◇通信制高校の“今”
第2回 中学からの進学者と転編入学者◇◇

◎中学からの進学者が一貫して増加
このシリーズの第1回で通信制高校制度開始以来、ここ数年“過去最高”となっているのが学校数と生徒数だとご紹介しました。
第1回は学校数についてご説明したので、今回は生徒数についてご説明します。

2021年5月1日現在で、通信制高校の生徒数は21万8,428人(公立高生5万3,880人、私立高生16万4,548人)となりました。“過去最高”と言っても、学校数同様に数字だけ見てもピンと来ないと思います。
そこで高校生全体の中でこの生徒数を見ると、高校生15人に1人の割合で通信制高校生となっています。さらに私立高校生に限ってみれば、7人に1人が私立通信制高校生となっています。
こう見ると、通信制高校が進路の選択肢となっていることがわかってもらえるのではないでしょうか。

通信制高校生徒数が増加している背景には、2つの増加要因があります。一つは、中学卒業生の進学者数増加、もう一つは転入学者数の増加です。

まず、中学卒業者の通信制高校への進学者数は、20年3月卒業生で3万6,167人です。この人数自体も“過去最高”なのですが、これも数字だけだと多いのか少ないのかちょっとわからないと思います。
20年3月に中学を卒業して高校進学した人は、約105万人います。そのうちの上記人数ですから、「それほど多くないわ…」という感想を持たれる方が多いと思います。現状は、約95%の人が全日制高校へ進学しています。

中学から通信制高校への進学者が増えているのは、次のようなことでわかります。
過去10年間の推移を見ると、少子化という大きな要因もありますが全日制、定時制への進学者数は一貫して減少しています。その一方、通信制高校への進学者数は一貫して増加してきました。15年度からは定時制への進学者数を通信制が上回って現在に至ります。

転入生など年度途中に入学する生徒は、2万3,339人(20年度、公立高1,946人、私立高2万1,393人)となっています。転入学生がこれだけの人数となるのは柔軟なしくみを持った通信制高校ならではのことです。20年度の通信制高校入学者数の約3割を占めています。
公私の内訳で見ると、公立高では約14%、私立高では約32%を転入学者など年度途中入学者が占めています。私立通信制高校が転入学者を柔軟に受け入れている様子がわかります。

◎規模別で特徴のあるサテライト施設
1校あたりの生徒数は、840人(公立高700人、私立高899人)となっています。全日制高校は624人、定時制高校は117人ですから、一見すると通信制高校のほうが“大規模校”の数字になります。

この点は、このシリーズ1回目でご説明したように広域通信制高校というタイプの学校がサテライト施設を各地に開設していることで実際に学ぶ場所での生徒数は分散されて、小規模校が多数を占める構造になっています。

さらに実情から言うと、サテライト施設にも比較的規模の大きいところから小さいところまであり、その規模に応じて次のような特徴を持っています。


通信制高校の場合は、実際に通学することになるサテライト施設などの雰囲気が自分に合うかどうかを見てもらうことがとても大切です。
なぜかと言うと、それが合わなくて高校中退となるケースも多いからです。高校中退者数そのものは、19年度で4万2,882人・中退率1.3%となっています。これは、10年前に比べると1万人以上も減少しています。その背景には、中退ではなく、通信制高校への転入学が増えたことがあります。

ところが、通信制高校の中退率は横ばいです。19年度で1万2,569人(公立高4,946人・8.2%、私立高7,623人・4.7%)となっています。実数はこの10年間ほぼ同じで、高止まりと言ってもいいかもしれません。
1回目でご報告しましたが、入学したものの1科目も履修登録をしない生徒が約13%(公立校34%、私立校5%)もいます。これらの生徒は学校生活に意欲を失いがちになります。ですから、雰囲気が自分に合うことと、登校形態に関わりなくある程度の面倒見がいい環境を選びましょう。

学校選びのポイントは、一人ひとりが異なってむしろよいと思いますが、自分自身でしっかりと「ここがいい!」と決めてもらうのが、浮き沈みあるその後の学校生活を送るうえで大事な決め手になると思います。

今回は、「中学からの進学者と転編入学者」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「卒業後の進路を考える」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!