【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

「気になりますね!通信制高校」
『通信制を選んでどうだったの?』(体験談を聴く会から)②
不登校のこと(いじめを受けて)

 2024年1月15日
 

◇◇『通信制を選んでどうだったの?』(体験談を聴く会から)(5回連載)
第2回 不登校のこと(いじめを受けて)

今回は通信制高校を約10年前に卒業し、現在は社会人として活躍する卒業生の話です。中学時代にいじめを受け、それを避けるため不登校になりました。
通信制高校に進学したのは不登校中も関わった部活の先輩からの情報でした。進学後始めたアルバイトで働くことの楽しさを知ったようです。それが現在までつながっています。

第2回 不登校のこと(いじめを受けて)

(体験談)
翔洋学園高校卒業生
社会人 SOさん


◎行けない理由は母にも言えなかった【卒業生体験談】

親に学校に行かない理由は言いませんでしたが、中1の夏休み明けぐらいから学校に行かない日が続きました。
中学に行かなくなったのはいじめが原因です。
小学生のときもいじめにあった経験はあります。母が即座に学校に連絡してくれて、先生とやりとりを続けてくれました。そのおかげで、いじめはそんなに長くはなかったですが、一定の時期学校に行っていませんでした。
中学に入学した1学期もちょこまかいじめにあったんですけど、小学校のときと同じ程度と私自身軽く考えていました。
だけど、小学校のときとは全然違う感じでした。いじめをする中心は小学校のときと同じ人でしたが、その周辺に女子グループができて人数も多くなっていて対抗する気力もなくなりました。休みがちになってだいぶたった中1の年明けに母にいじめのことを伝えたと思います。それまで母は、学校には行かないけど部活の美術部には行ってるし、外に出るのが嫌だというわけでもないので何が理由か不審に思ったみたいです。
部活だけ行ってもいいと先生から言ってもらえたので、放課後早めの時間に行っていました。当時は途中でいじめグループに会わないように神経をとがらせながら部活に行きました。勉強するのは好きで自宅で勉強もしていましたし、学校自体も嫌いというわけでなく部活には行っていましたが、中3になって高校進学をどうするかという壁にぶつかりました。
そんなとき、当時高3だった先輩が部活によく遊びに来てくれていて、たまたまどこか行けそうな高校ないかなという話になったんです。その先輩から、うちの高校は通信制だけど大丈夫だよと。

その先輩は女性ですがちょっと男らしい感じの方で、やってみてダメだったらそのとき考えればいいからと。揺らぎがちだった私の気持ちをわりとポンッと押し出して勇気を与えてくれました。 通信制高校では同級生といる場が好きで、雑談だけでも十分満たされていました。最初のうちは同級生とも放課後一緒に過ごしていましたが、そのうちに周りの子がバイトを始めるようになりました。私も中学時代からバイトをしてみたいという気持ちがあったので高1の後半から探し始めました。
最初のバイトはコンビニでした。夕方5時から10時までの時間帯だったので酔客などが来るかもしれないとあまり良い印象を持たずに始めました。パートさんの急な休みで応援を頼まれたときは休みの日なら受けていました。お店にも良かったでしょうけど、働く楽しさがわかって私にも有意義でした。高校卒業からすぐ進学とは決めかねたので、両親に「働くので1年間自由をください」とお願いしました。しっかりと進学先を決めるのと同時に1年目の学費はきちんと貯めますとも言い切りました。その1年間は、卒業した高校が行っている放課後等デイサービスという障害のある子を一時的に預かる事業のお手伝いをしました。ダブルワークでコンビニのバイトも続けて、専門学校の1年目の学費は自分で払いました。一方でお金を使っても残せるやり方がわかって貯める楽しみも見つけました。
子どもたちの面倒をみたことで小さいころから夢だった子どもたちに関わる仕事が明確になりました。小学生になってからも大好きだった幼稚園時代の先生と手紙のやりとりをしていて、私にはそのうれしかった思い出がずっと残っていたんです。

◎「ありがとう」言われる関係へ【解説】

いじめにあい中学校に行けなくなり、勉強や学校生活に不安を抱えながら通信制高校を選んだ卒業生です。いじめは、集団対1で行われることが多いですから理不尽であるうえにとても恐い状態です。
閉鎖的な学校という環境では逃げ場を失いがちです。本人の気持ちは沈みがちで視野は狭まりますから、大人はいじめをかわすことのできる環境を探してあげることが肝心だと思います。

SOさんが進学した通信制高校キャンパスは、施設は小さいもののそこで学ぶ生徒の様子が落ち着いていることが自分に合っていたと言います。
実は中3時の進学相談で近所の公立高校を薦められますが、そこは同じ中学からの進学者が多いため(つまりいじめた人も進学する)、通学時間などの負担が増えてもまったく新しい環境を選びました。

SOさんは、高校在学中は体験談発表者になってくれ、卒業後は「卒業生ボランティア」として学びリンク通信制高校合同相談会を手伝ってくれています。私との付き合いも10年以上となりました。まだ20代後半ですが放課後等デイサービス運営会社の1事業所を任される所長にまでなりました。

いつもSOさんから感じるのは「働く」ことを楽しんでいる様子です。手伝ってくれている「卒業生ボランティア」でも、参加者の皆さんからの質問などに笑顔でこたえてくれます。

やりがいは何ですか? と聞くとー。
皆さんから「ありがとう」と言ってもらえることですね。「ありがとう」と言われると、「やってよかった」とか「自分はいてよかったんだ」と思えて、自分がそこに存在する意味を実感できるんです。それは普段の仕事でも同じで、私にとって「ありがとう」は、やりがいを感じられる言葉かもしれないです。

SOさんが言うように「ありがとう」という言葉をもらえる関係の延長線上にやりがいのあることが待っているように思います。
不登校状態で動き出せない状態から一足飛びにはなかなかそこまで行けません。まずは、自分が安心できて自由に動き回れる環境から選び始めましょう。


今回は、『不登校のこと(いじめを受けて)』についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は『転入学のこと』についてご説明します。