【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

自分らしく過ごせる居場所 トモエ学園でイキイキ過ごした日々

トットちゃんの学校は、人数の少ない学校で全校生徒50人、私のクラスは8人でした。校庭に電車の車両を並べていて、それが教室でした。その教室を見たときは本当にうれしかった。

一番楽しかったのは、自分の好きなところから勉強していいっていうやり方。1時間目は何、2時間目は何という決まりはなくて、先生が用意してくれた問題を自分の好きなところから勉強していいんです。お昼までに全員が全部できちゃうと、お弁当を食べて、みんなで3時間ぐらい散歩したり、お寺に行って仏像のことを先生から習ったり、畑でおしべ・めしべとか、チョウチョのことを習ったり、そういうのがとても楽しかった。やっぱり楽しいことがあったら、子どもはよそ見なんてしないで一生懸命取り組むのでしょう。


子どもは大人が思っているよりよくわかっているんです

—『窓ぎわのトットちゃん』を読んでいると、トットちゃんのお母様がいつもトットちゃんを温かく見守っていますね。

うちの母は本当に子どもの気持ちがよくわかる人でした。私が退学になったことも、20歳になったときに初めて教えてくれたんです。6歳のときに「退学になったのよ」なんて言わないで、「違う学校に行ってみましょう」と言ったそうなんです。そうしたら、私が性懲りもなく、「そこ、チンドン屋さん来るかな」と聞いたと言っていました。一度そのせいで退学になっているのに!

でも、もしそこで「退学になった」と母から言われたら、トットちゃんの学校に行ったときに、電車の教室を見ても、やっぱりうれしくなかったと思うんです。「みんな、私が退学になったこと知ってるかな?」とか思って。でも、母はそうは言わなかったです。

私、母にしても校長先生にしても、子どもを一人の人間として接してくれる大人に囲まれて育ったんですよね。

トットちゃんの学校には、体に障がいを持った子どもが何人もいましたけど、「助けてあげなさい」なんて先生は一回もおっしゃいませんでした。「一緒にやるんだよ。みんな一緒だよ」とそれだけ。だから、みんな一緒にずいぶん遠くまで電車に乗ったり、船に乗ったりして、いろんな所に旅行しました。いつも一緒に同じことをするんだから、体に障がいのある子たちとどういうふうに接して、一緒に暮らせばいいか、先生がいちいち言わなくても、自然とできました。子どもって大人が思っている以上にいろんなことをわかっているものなんです。



いっぱい褒める そうしたら子どもは元気になる

個性的な子ほど仕事をやったときにうまくいくかもしれないから、ほかの人にない個性を持っている子はそこを伸ばしてあげて欲しい。ほかの人と違うからだめだと否定しちゃうのは、本当に良くないわ。子どもにとって一番がっかりしちゃうことは、否定されることでしょ。小さいときから、何をやっても「いけない」と言われれば、自分が愛されてないと思い、自信もなくなると思います。

私も、もしあのまま元の小学校と同じような学校に行ったら、またどうせそこも出されたに違いないから、たらい回し状態になって、何をやっても「いけない」と言われて、本当にびくびくした大人になったと思うんです。