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高校は出席日数と成績で単位を修得

高校は年間の各授業の出席日数(総授業時数の3 分の2 以上の出席)と各テストの成績で基準を満たさなければ進級も卒業もできない。出席とは各授業を受けることを言う。ここが高校と義務教育の大きな違いとなる。学校に馴染めず、登校しぶりが始まる生徒は月曜日に欠席する場合が多い。

しかし、1週間に1時間しかない授業が月曜日にあると、あっという間に年間の欠課時数を超えてしまい進級できなくなる。どんなに辛くても授業に出なければならない。でも、このような生徒がやっとの思いで登校しても、体調が悪くなり、保健室に休みに来てしまう。その姿は生気がなく、声も小さく、顔色も悪い。体調が悪いのが一目でわかる。出席日数が関係していなかったら、養護教諭として自宅に帰ってゆっくり休むように話しているだろう。本校では2時間連続での保健室利用は認めていない。でも生徒も自分が置かれている状況をよくわかっている。だから1 時間寝かせていても、ほとんどの生徒がチャイムが鳴ると自分から起きて授業に出る準備を始める。もちろん顔色は悪く表情も暗い。帰りたいオーラが全身から出ている。そんな生徒には、明るく声をかけるようにしている。

「辛いね、体調悪いよね、でも次の時間は半分でいいから頑張って受けようね。どうしてもダメだったら、いつでも戻ってこられるように、ベットは空けておくから頑張っておいで」

このように保健室に居場所を確保してあることを伝え、励ましながら出入り口まで一緒に歩き、生徒が渡り廊下を曲がるまで保健室のドア前で、手を振り見届けるようにしている。ほとんどの生徒が曲がり角で保健室を振り返るので、その時は両手で握りこぶしを作り、ガッツポーズ。保健室から「頑張れ」のエール。時々ガッツポーズを返してくれる生徒もいる。そんな生徒は、その日は授業を受けられているようだ。このように高校は出席日数にはとても厳しい。絶対にごまかせない。

1時間でも足りなくなればその時点で進級できなくなる。欠席の多い生徒にとって3学期は体調との戦いとなる。もう休めないという生徒が、吐き気で来室したときは、ビニール袋を持たせ、机をドア近くに移動させ、私が廊下で待機して何とか持ちこたえたこともあった。養護教諭として、このような対応をしなくてはならないのはとても辛い。休ませてあげたい。でも進級はさせてあげたい。高校の養護教諭にとって3学期は結構辛い時期なのである。


公立高校養護教諭 ペンネーム 宮田笑美 先生