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新着情報

2022年11月29日

私立通信制高校の全国団体 大阪で研究会

全国私立通信制高等学校協会(私通協)「学校運営研究会」

制度改正、社会の期待と懸念

これからの通信制に求められていること

 

 

全国の私立通信制高校でつくる全国私立通信制高等学校協会(私通協)が、11月28日、大阪市内で学校運営研究会を実施した。会場には協会加盟校のほか未加盟校も含め約50名の教員が参加。オンラインによるライブ配信も行われた。私立通信制高校の現状課題や今後の活動方針などについて議論が交わされたほか、文部科学省初等中等教育局の松田昌幸氏、早稲田大学教授で全国通信制高等学校評価機構理事長の森田裕介氏による研究講演も行われた。

 

第1部では研究協議会として、私通協の吾妻俊治会長(東海大学付属望星高校 校長)が令和4年度の活動と今後の活動方針について報告。議事進行は小椋龍郎事務局長(日々輝学園高校 理事長・校長)が務めた。

 

通信制高校を取り巻く状況は近年大きく変化。全日制、定時制高校の生徒数が減少する中、通信制高校の生徒数、学校数は年々増加している。一方、一部の学校で不適切な運営実態も見られ、国は昨年3月に高等学校通信教育規程を一部改正したほか、有識者会議を開き今年8月にその報告書をまとめたところだ。

 

吾妻会長は、現在の通信制高校が置かれた状況について「生徒数・学校数増加による社会的意義や必要性の高まり」「教育の質確保・向上に向けた取り組み」「教育関係諸団体からの通信制高校全般への懸念」「私学助成等の拡充・強化による健全経営の実現」などを挙げ、「協会が担うべき役割、責務は増している」と組織拡大の意義を訴えた。

 

協会は2022年度に15項目の事業を実施。特に学校間の意見交換や情報収集の展開を目指した。今後の活動については、「全日制、定時制と比肩して遜色ない教育の質を保証することが必要」とし、各校の努力が必要であるとともに学校間の情報交換や研鑽のための活動を実施していくとしている。一方、全日制、定時制と同等な教育の質確保・向上を実現するためにも、格差の著しい私学助成等、助成制度の拡充を求めるための関係諸団体との関係構築や情報発信、政治活動等を模索するとし、具体的には令和8年度予算からの実現を目指すとした。

 

(挨拶をする吾妻俊治会長)

 

(議事進行を行った小椋龍郎事務局長)

 

吾妻会長による活動報告後、通信制高校に対する国の動きとして、文部科学省初等中等教育局の松田昌幸参事官(高等学校担当)付参事官補佐が解説を行った。松田氏は昨年3月に一部改正された高等学校通信教育規程の内容や、今年8月にまとめられた有識者会議の概要、また今月11日よりスタートした中教審特別部会ワーキンググループでの議論について説明を行った。

 

その後、松田氏に対しては参加者から多くの質問が寄せられた。北海道から参加した教員は「教員免許所持者の確保が困難な状況。国としてはどう考えているか」と質問。松田氏は「重要な課題であり、現在は免許更新制の見直しなども取り組んでいる。今後はワーキンググループの中でも議論を進めていく」と回答した。

 

大阪府の教員は、有識者会議の審議まとめの中で示された「1単位当たり35単位時間を標準」とする学習時間の設計について「全日制高校の印象を持つが、具体的なイメージを知りたい」と質問。これに対し、松田氏は「学習指導要領の示す通り、全日制、定時制と質・量ともに変わらない学習となることが前提となるが、機械的に35時間の学習時間を定めるのではなく、指導要領が定める目標を達成するための設計を行うという意味合いであり、その一事例として示した」と回答した。

 

また、ほかには「教育の質確保・向上のためには財源の確保も必要になるが、通信制高校はこれまで助成金の予算立がよくわからないまま、ここまで来ている。通信制高校に対する助成を具体的にどう考えているか」など私学助成に関する質問が挙がった。松田氏は「関係する様々な課と議論をしつつ、支援の在り方を考えていきたい」とした。

 

(オンラインによる講演を行った文部科学省の松田昌幸氏)

 

(研究講演を行った早稲田大学教授の森田裕介氏)

 

文部科学省が発表した2022年度学校基本調査(速報値)によると、通信制高校の在籍生徒数は23万8,314人と過去最高となり、昨年度より約2万人増加。学校数は今年13校が新設され273校となった。少子化により高校生全体の生徒数は昨年度より約3万人減少したが、私立高校生は約2万6千人増加した。この増加分の約73%を占めているのが通信制高校生だ。

 

こうした私立通信制高校に対する社会的期待を支えているのが、制度上のメリットを活用した自由度の高い教育活動や多様な生徒の受け入れだ。しかし、自由度が高い一方で仕組みも複雑化し、特にサテライト施設の存在や学費面などにおいて保護者や生徒に混乱を与えるケースもある。今後、通信制高校はその魅力を発信するとともに、教育内容のわかりやすい説明を社会に対し発信していく必要もある。私通協はそうした課題も意識しつつ、特に学校間の連携や情報交換を積極的に図るとしている。

 

▼全国私立通信制高等学校協会(私通協)

https://shitsukyo.jp/#

 

12月4日沖縄・宜野湾通信制高校・サポート校合同相談会

【2023年】

3月5日(日曜日)大阪・梅田通信制高校・サポート校合同相談会