【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
13:不登校の経験が教えてくれたこと

 2023年9月21日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

「学校に行きたくない」「生きるのがつらい」という子どもたちに向けて対応が呼びかけられる夏休み明けの前後。今年は、新たなアプローチとして、NPO法人全国不登校新聞社が『不登校生 動画選手権』を開催しました。

取材で伺った表彰式で、同新聞社代表理事で大会事務局長を務めた石井志昴さんは、夏休み明け前に大会を開いた意義についてこう語っていました。

夏休み明けは、どうしても不登校や子どもの自殺が多くなってしまいます。不登校は悪いことではありませんが、追いつめられて、追いつめられて苦しくなってしまう。そんな人に何かメッセージを届けられないか。それは、やっぱり当事者の私たちなんだ。10代で不登校をした人が、何か本人に伝えられることがあるはずだと思いました。そんな思いをぶつけられるような大会にしました。

実際に投稿された動画を見ると、学校ではなく自分の好きな場所で楽しく時間を過ごしていたり、ベッドの上で静かに思いを語ったりと、動画の内容もトーンもさまざま。

審査委員長を務めた中川翔子さんが、「何気なく動画が流れてきたり、次の動画をスライドしているうちに入ってくる言葉が、傷ついている瞬間だからこそ刺さったりすることがある」とTikTokの利点について触れていましたが、私も、それぞれの心情のタイミングにヒットする動画があると気づかされました。

私は生きることも何もかもやめたいと思った時、シンガーソングライター・森山直太朗さんの『生きていることが辛いなら』を聴いて、心を静めていました。そんな感情を抱いてもいいのだと肯定されると、すごく楽になったのです。

でも、どうしても心が静まらなかった中学3年生の9月に、私も自ら命を絶とうとしました。
私は中学1年での不登校を機に地元から離れた中学に転校したのですが、中学3年の2学期から、また学校に行きたくないと思うようになりました。しかし、それを言葉にすることができず、行動をおかしてしまったのです。
目が覚めた時は病室でした。夜中だったにも関わらず、無表情でただただ涙を流していた母の姿を見て、「一番悲しむことをしてしまったのかもしれない」と思いました。

それからしばらくは入院生活でした。天井にある赤いランプが点滅する小さなカメラをじっとみつめる日々。体を起こせるようになったら、手の第2関節くらいしか開けられない窓の隙間から景色を見る日々でした。
私は今でもよく、窓のほんの隙間から見えた景色を思い出します。緑の原っぱが少し広がった先には銀色の柵が張り巡らされ、その奥にはもっと高いコンクリートの壁。その景色と、普段会社から出て見える風景や家までの道のりの景色を比べると、今日も生きている心地がするのです。

退院後は、学校に行かず、適応指導教室に通うようになりました。そんなつらい思いをしなくても、学べる居場所はほかにもあると知ったからです。
私が通信制高校を選んだのも、「全日制高校でまた不登校になるかもしれない」と不安を感じながら通うことがつらいと思ったからです。

これを「逃げ」と捉える人もいるかもしれません。正直、当時の私も「逃げてはだめだ」と葛藤する時もありました。でも、それは自分を守るために選んだ道で、結果、自分に合った環境でした。そのおかげで、その後の人生の節目にある出来事には、ちゃんと向き合えました。

そして、高校や大学で自分の世界を広げられたことをもとに、やりたいことや自分に合った雰囲気の会社と出会うことができ、今はやりがいをもって生き生きと働けています。

これまで3回の不登校経験のおかげで、自分が嫌なことや苦手なことを知れて、どんな環境が自分に合うのかわかった気がします。