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学びリンクで働く!元不登校・通信制高校卒業生のつぶやき
17:やるせない思いは原動力に

 2023年12月1日

 


こんにちは。
学びリンク編集部で働いている、元不登校・通信制高校卒業生の柳野です。

このコラムでは、そんな私が通信制高校の専門出版社である「学びリンク」で働きながら感じたことを紹介します。

ここ最近のコラムでは、私の小学生時代の不登校について振り返りました。小学3年までは学校に行けない日が多かった一方で、小学4年から6年までは見違えるほど、毎日通うようになりました。そのきっかけが、『音楽部』との出会いでした。

小学3年の夏休み。普段は学校に行かないくせに、毎日図書室に行くのが日課でした。
そんな様子をみた音楽の先生から、ある日、声をかけられました。「あみちゃんって、ピアノを習っているのよね。みんなで演奏する音楽部には興味ない?」と。

その先生に連れられて、音楽部の練習を見学しに行きました。それぞれ一つの楽器を演奏しているのに、音が一つになってせまってくる感覚にすぐ魅了されました。そんな私は入部を決意し、練習がある曜日の放課後に合わせて登校するようになりました。私と同級生の部員はおらず、周りを気にせずに楽しめる居場所が学校で見つかったのです。

そして、入部してから3か月後、大きな舞台で初めてのソロパートを任されました。それを審査員に褒められたことをきっかけに、私はみるみると変化していったのです。学校への登校やその他の活動にも積極的になり、さらに自ら同級生の部員を募集し始めたのです。
集団で活動することをわずらわしく感じていた私に、音楽部の活動は、人と一緒に何かを取り組む楽しさを教えてくれたのです。そして、自ら考えて動き出す自信を与えてくれました。

一方で、中学で入った吹奏楽部では、苦い思い出が残っています。中学1年になった当時、私は「中1ギャップ」と「家庭での問題」で板挟みでした。そんな中、「部活」でも苦しむとは思ってもいませんでした。
入部した吹奏楽部はいわゆる金賞常連校で、練習が朝・昼・放課後と毎日。唯一の自主練日の日曜も、みんな参加するため休めない状況でした。加えて、波長が合う同級生や先輩もいませんでした。
それまで「部活」は私にとって、学校に行く大きな理由で、かけがえのない居場所だったのが、そうではなくなってしまったのです。

結局、学校でも家庭でも悪い方向に進み、心身ともに過多がきて入院。気持ちは諦めたくないのに、体がついていかない状況で、部活を辞めざるをえませんでした。そして、中学1年の後半からは完全に学校へ行けなくなってしまいました。

しかし、中学2年から、また学校に行くようになりました。山村留学を利用して、小さな島の学校に転校したからです。留学先に選んだのは、やっぱり、音楽ができるところでした。その島は、アフリカの民族楽器「ジャンベ」が代々継承され、中学生は今も毎年、県の音楽コンクールに出場しています。
私がその島にいた当時は、中学校の全生徒が5、6人でした。そんな少ない人数で、前籍校の吹奏楽部と同じコンクールの舞台に立ち、2年連続で金賞を受賞。前籍校でやり遂げられなかったことを新しい場所で果たせたのです。

以前、NHKのテレビ番組「ドキュメント72時間」の同時ドキュメントという企画で、全国高等学校定時制通信制軟式野球大会の様子が放送されました。
「以前在籍していた高校の野球部では顧問との指導が合わなかった」「持病で野球を続けられなかった」など、それまで続けていた好きな野球を一旦は諦めた生徒たちがいました。
しかし、そんな彼らは、本来望んでいた、目指していた舞台や理想の自分とは違うかもしれないけれど、今いる定時制高校・通信制高校で、最大限に野球をしていました。

「本来できるはずだった、本来したかったことができなかった」、そんなやるせない思いは、自分の原動力になります。
そして、そんな苦い経験は、学びを与えてくれます。「何でも完璧にこなすと体を壊すのは当たり前。あなたが今、一番これだけは譲れないと思うことは何?力を抜くところを探して」と、中学1年の私自身に声かけするように、今の自分と向き合っています。