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生きること・働くこと③ 料理を極めてフランスから勲章をもらおう!

 2018年7月4日

 
世界若手料理人コンテスト日本代表になった古屋聖良さん(学士会館)


私はつい最近まで、ホテル・レストラン会社の役員をやっていました。宿泊、婚礼、宴会、レストランという営業で毎日100人ほどのスタッフが働いていますが、人手不足のため厨房の料理人やレストランのサービススタッフはいつも欠員状態で、常に人員募集を行っていました。人が足りないことが原因で、労働時間が長くなったり、やりたくない仕事をやらなければならない、という不満は絶えずあったようです。

いい人材を必要数確保しないといい職場環境は実現できない、一方でいい職場環境にしないといい人材は集まらない、というジレンマの中で、とにかく人を集めようと専門学校を回ったり、業界の評判をよくしたら若者の人気も上がるのではとフランスからシェフを呼んでディナーパーティをやったりもしました。

採用面接には私も立ち合いましたが、その中で気になったことは、若者が目先の得や楽さ加減で職場を選ぶ傾向が見えたことです。私が関係したフランス料理店の厨房では、初心者でも基本から教え、規模が小さいことが幸いして一流ホテルよりも早めにいろいろな職場が経験できるので、努力次第で実力シェフへの近道になります。また、いつも単調な野菜切りばかりということもなく、全員が助け合うコミュニケーションもできます。それなのに、それほど料理技術が要らないファーストフードの店や単品を扱うチェーン店でも時給はそう変わらないとそちらに流れる若者が多いようなのです。それではバランスの取れた立派な料理人にはなりにくいと感じました。

私は「料理の世界ではいくらでも成長できる」「フランス料理をきわめてフランス国の勲章をもらおう」と呼びかけました。実際に学歴はなくても、実力と実績でフランスから表彰された日本人の料理人が何人もいます。また、そのレストランでは就職して3年で世界料理人コンテストの日本代表に選ばれた若手も育ちました。

日本は超高齢社会で、若者が少なくなり、人口も減少しています。反面、外国からの観光客数は増加しており、働き手は足りません。国は高齢者と女性、そして外国人労働者に働いてもらってカバーしようとしていますが、社会にとって必要なのは若者の活力です。私は若者が将来を考え、世界を見つめてチャレンジ精神を発揮してもらいたいと心から願っています。

次回は「単純労働は単純か」について考えてみたいと思います。