【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

生きること・働くこと⑧ 就活の極致/あなたは気持ちをどう伝えますか

 2018年9月3日

 
アリはアリマキ(アブラムシ)を守る代わりに栄養(分泌物)をもらう。動き回るアリとじっとしているアリマキはどちらが“働き者”だろうか。


大学4年生が就職活動に苦しんでいました。友人が次々に内定をもらっているのに、20前後の会社をまわっても、何社か面接までこぎつけてもなかなか決まらないのです。相談に来たので書類を見てみました。大学職員の指導を素直に受けて型通りの「いいこと」が羅列されており、文章はよくまとまっているのですが、気持ちが伝わって来ません。

「面接のときに気持ちが入らないのです」「本当に自分はここに入りたいのかな、という迷いがあります」――その女子学生は言いました。

「どんな会社に入りたいの?」と聞くと、「物を作っている工場が好きです。製造現場にいながら、それを売る営業や事務がしたいです」という答えが返ってきました。

「じゃあ、そういう物を作っている会社を受ければ?」
「ないんです。求人していないんです」
「じゃあ探せば? 東大阪市には町工場がたくさんあるから必ず見つかるよ。飛び込んで頼めば、熱意を買ってくれるかもしれないし」
「じゃあ、やってみます」

彼女が「決まりました!」と報告してくるまでにそれほどの日数はかかりませんでした。インターネットで調べた会社2社にメールを送ったところ、1社の社長から電話があり、会ってくれたそうです。ゴムベルト製造工場も持っている営業の会社に無事入ることができました。

彼女の親は離婚しており、家族の面倒を見るがんばり屋。町工場でも生き生きと働いたことと思います。いまでは結婚し、ときどきメールで私が励まされています。

私の同級生で世界的なIT企業に就職した人がいます。当時は、学生運動がピークを過ぎていましたが、まだその雰囲気が残っていた時代で、官僚も大企業も研究者も特権階級だというので嫌う傾向にありました。そうなると就職先はなかなか見つかりません。友人は卒業間近までぶらぶらしていましたが、あるときビルを見上げたらIT企業があったのでふらっと飛び込んだところ時季外れにもかかわらず採用してくれたのです。入社後「外資系企業はきつい」と愚痴っていましたが、結局定年まで勤め上げたようです。

仕事に貴賤はないと言われますが、世間の評価と自分の適性や希望とはかけ離れることがあります。どっちに合わせるかは自分次第です。たまたま就職した友人はどう思っているか、聞いてみたいと思っています。

次回は、お客様と従業員との関係について考えてみます。