通信制高校と「その後」#03(後編)
「『どんな人たちと働くか』を重視。高校生活を通し『環境』の大切さを実感」Yさん親子
2025年9月00日
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(前回までのお話)
「少人数の環境やソーシャルスキルを通して『自分らしさ』を発見」
中学時代は「思い込み強い」という発達特性の影響で人と関わることに抵抗を感じていたYさん。進学した通信制高校では、少人数の環境、授業にテーブルゲームを取り入れるなど、楽しみながら学べたことで、少しずつ不安が取り除かれていきました。また、ソーシャルスキルの授業も充実しており、仲間と協力した活動や自身の悩みを共有できる時間を通して、相手の気持ちに寄り添うことの大切さも学んだと言います。
中学時代は「思い込み強い」という発達特性の影響で人と関わることに抵抗を感じていたYさん。進学した通信制高校では、少人数の環境、授業にテーブルゲームを取り入れるなど、楽しみながら学べたことで、少しずつ不安が取り除かれていきました。また、ソーシャルスキルの授業も充実しており、仲間と協力した活動や自身の悩みを共有できる時間を通して、相手の気持ちに寄り添うことの大切さも学んだと言います。
[進路と現在の仕事]
自分に合う仕事を見つけた
畠中:卒業後の進路は、どのように考えて決めましたか?
Yさん:高校2年の終わり頃から進路について真剣に考え始め、当初は大学進学も視野に入れていました。ただ、3年生になってからアルバイトを始めて、「仕事ってこういう感じなんだ」と体感できたことで、就職への意識が高まりました。放課後等デイサービスや生活介護施設でのボランティアを経験し、「思っていたより自分でもできるかも」と思えたことも自信につながりました。
お母さま:就職先を選ぶ際には、「どんな人たちと一緒に働くか」を最も重視しました。今の職場の雰囲気であれば、息子も前向きに頑張れるのではと感じました。
Yさん:現在は、特別養護老人ホームで働いています。トイレや入浴の介助、オムツ交換など、最初は上手くできなかいことも多く時間がかかり大変でしたが、少しずつ仕事を任せてもらえるようになりました。
畠中:いまの仕事が「自分に向いている」と感じることはありますか?
Yさん:認知症の方に寄り添う場面では、自分の特性が活かせている気がします。不安を抱える気持ちに、自分の姿と重なる部分があり共感できるんです。たとえば、「人が多いと落ち着かない」「知らない場所が不安」といった気持ちに、自然と寄り添うことができます。
[これから進路を選ぶ人]
自信がなかった自分でも変われた
畠中:働かれてみて、ご自身の成長を実感することはありますか?
Yさん:時間に対する意識が大きく変わりました。社会人として時間を守らなければならないという気持ちが強すぎて、初めはだいぶ早めに出勤していましたが、今では落ち着いて時間を守れるようになりました。掃除も上達しましたし、自分でお金を使えるようになったのも嬉しいです。
お母さま:高校時代は体調不良で休むこともありましたが、社会に出るとそう簡単に休むわけにはいきません。体調管理の重要性を、息子自身が働きながら学んでいると感じています。
先生:Yくんは高校3年間の間で本当に大きく成長されました。人に寄り添う力がありますし、後輩の様子を気にして声をかけることもできます。クラスメイトに対しても「その言い方だと伝わりにくいんじゃないかな」とアドバイスができるようになっていました。ソーシャルスキルの授業で学んだことを、日常の中で自然に活かしていたのが印象的でした。
[最後に]
通信制高校を考えている方へのメッセージ
畠中:これから通信制高校への進学を検討されている方々へ、メッセージをお願いいたします。
Yさん:通信制高校は、ネガティブなイメージを持たれることもあるかもしれません。でも、自分にとっては少人数で話しやすく、とても楽しい学校でした。自分に自信がなかった僕でも、いろいろな人と関わる中で少しずつ自信を持てるようになりました。趣味の話をしたときに「それ、すごいね!」と褒めてもらえたのが嬉しくて、その積み重ねが今の自分につながっていると思います。
お母さま:やはり「環境」はとても大切だと実感しています。通信制高校でも、先生や友人と関わることができたことが、息子にとって大きな財産になりました。スクーリングで親と離れて福岡にも行きましたが、それも大きな自信につながったようです。先生との相性も良く、手厚いサポートがあったからこそ、息子が「自分らしく」いられたのだと思います。
取材後記
Yさんの学校生活には、「学び」の本質が詰まっていると感じました。知識の習得だけでなく、人との関わりを通じて少しずつ自信を育み、他者に寄り添う力を身につけていかれた姿が印象的で、それらの経験が、今の仕事や生き方にしっかりと結びついていることに感動しました。学びとは、安心できる環境の中でこそ深まるのだと、あらためて気づかせて頂けた取材でした。(畠中)
Yさんの学校生活には、「学び」の本質が詰まっていると感じました。知識の習得だけでなく、人との関わりを通じて少しずつ自信を育み、他者に寄り添う力を身につけていかれた姿が印象的で、それらの経験が、今の仕事や生き方にしっかりと結びついていることに感動しました。学びとは、安心できる環境の中でこそ深まるのだと、あらためて気づかせて頂けた取材でした。(畠中)
取材協力:アットスクール高等学院