「気になりますね!通信制高校」
卒業後を見越した在学中の進路指導力④
就職でスキルと職業観が身につく、転職もあり
2025年5月1日
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◇◇「卒業後を見越した在学中の進路指導力」(4回連載)
第4回 就職でスキルと職業観が身につく、転職もあり
◎卒業7年後の離職率が高まる
卒業生アンケート調査回答者の就職率は、2022年度卒業生17%、17年度卒業生26%となっています。これは私立通信制高校平均19%(22年度)、20%(18年度)と比較し前者は同程度、後者はやや高い結果になりました。
卒業時就職した人の卒業後の経過を見ると、卒業2年後の22年度卒業生は「在職中」68%、「退職した」32%となっています。17年度卒業生では「在職中」74%、「退職した」26%となっています。厚生労働省によると新規高卒就職者の3年以内離職率は38%とされますから同程度かやや低いと見られます。
退職した人の現在の状態を見ると、「何もしていない」状態の人は卒業2年後現在14%、7年後現在35%となっています。前回の23年度調査に比べると卒業7年後の人の率が19%から顕著に上昇しています。自由回答記述も少なくこの背景はにわかにはわかりませんが「就職しても長続きしない」「退職後アルバイトを転々としたがそれもやめて今は何もしていない」などの回答が複数寄せられています。
卒業2年後現在で退職後「何もしていない」人には「退職したばかり。これから就職活動をするところ」「引っ越しに伴い、転職中」など次のステップへ動き出そうとしている様子も多く見られます。また、職場環境が合わずに通院中という人や結婚などにより家庭環境が変わった人もいます。
◎就職は社会生活への“免疫力”をつける

それでは、表2では卒業後の経過で「在職中」だった人の7年間を見てもらいます。
在職中だった人は17年度卒業生74%、16年度卒業生59%で、17年度が高い在職率になっています。それぞれ7年後現在を見ると、同じ会社か転職したかは不明ですがやはり「在職中」が17年度96%、16年度97%と高い比率となっています。「何もしていない」状態の人はいません。
在職中の卒業生から「しんどいけど楽しい」という言葉が寄せられています。シンプルな表現ですが、この言葉にいろいろな意味が含まれているように思います。慣れない職場環境のなかで失敗したり、怒られたりして落ち込んだこともあっただろう時期からだんだんと必要とされる人材へと成長してきた姿が浮かびます。職場や仕事への“免疫力”(自信)がついたのだと思います。
また、ある卒業生は「卒業してから今日まで同じ職場です。去年結婚して今年子供が生まれました。仕事も家庭も充実しています」とアンケートを通じて報告してくれました。
こういう報告がたくさんほしいですね!
今回は、「就職でスキルと職業観が身につく、転職もあり」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回は「学びリンク30周年事業『最強の通信制高校』プロジェクトについて」についてご説明します。
次回シリーズもどうぞよろしくお願いします!