「気になりますね!通信制高校」
これから通信制高校を選ぶ人に覚えていてほしい8つのこと④
進路決定率と卒業後を見越した在学中進路指導
2025年10月2日
![]() |
◇◇「これから通信制高校を選ぶ人に覚えていてほしい8つのこと」(4回連載)
第4回 進路決定率と卒業後を見越した在学中進路指導
このシリーズでご説明しているのは通信制高校をこれから選ぶ皆さんに覚えておいてほしい8つのことです。1回あたり2項目ずつ説明しています。
今回は最終回、7.進路決定率を高める、8.卒業後を見越した在学中進路指導と卒業生支援の2項目について説明します。
『通信制高校をこれから選ぶ皆さんに覚えておいてほしい8つのこと』
1. 快適な居場所を選ぶ
2. 親身な教員と指導力のある教員
3. 不登校、起立性調節障害、発達障害への支援
4. 女子生徒に期待される学びの場
5. 学費(教育費)無償化への対応
6. 全日制高校とのイコールフッティング
※今回は、7と8を説明します
7. 進路決定率を高める
8. 卒業後を見越した在学中進路指導と卒業生支援
1. 快適な居場所を選ぶ
2. 親身な教員と指導力のある教員
3. 不登校、起立性調節障害、発達障害への支援
4. 女子生徒に期待される学びの場
5. 学費(教育費)無償化への対応
6. 全日制高校とのイコールフッティング
※今回は、7と8を説明します
7. 進路決定率を高める
8. 卒業後を見越した在学中進路指導と卒業生支援
《2025年度通信制高校関連の指標(生徒数、学校数など)はコチラ》
◎「卒業後」を語れない「進路指導」はNG!
いろいろあって通信制高校を選びますから、けっこう疲れることもあります。そういうこともあって気持ちとしては「もう、高校卒業できればいいや」となることも多いと思います。
ただ、その気持ちはせっかく持っている一人ひとりの可能性にフタをしてしまうので切り換えてほしいものです。
学校選びの一つのポイントも「高校卒業できればいいや」という気持ちを切り換えられるようないろいろな体験機会があるといいと思います。
具体的には、「卒業後を見越した在学中の進路指導」がしっかりしているところということになります。高校卒業は目的地でもありますが同時に通過点ですからその先も見ておきたいです。
進路指導という言葉も、卒業後という先の見通しもちょっと考えたくない時期もありますが、その学校の持っているさまざまな経験を使ってあきないで自分に合った道を見つけたいところです。
率直に言えば、「卒業後(大学・専門学校等卒業後も含む)」を語れない「進路指導」はNGと思ってもらうと善し悪しの目安になると思います。
◎通信制始まって以来! 大学進学率がトップに
下の図で見ると一目瞭然ですが通信制高校生の卒業時進路未定率は、全日制や定時制高校生に比べると高いです。通学頻度の高いほうが進路が決まっている様子もあります。
このことがわかる学校基本調査は、文部科学省が全高校を対象としている調査なのでありのままの姿が現れます。
一般的に進路未定は、進学でも就職でもない場合を指しています。学校基本調査では、大学浪人や家事手伝い、求職中などは進路未定とされます。
通信制高校各校も進路未定改善に努めています。卒業時の進路状況は12月に発表される学校基本調査の確定値で明らかになります。

今年度(24年度卒業生)の調査結果は進路未定率が進路比率のトップではなくなるでしょう。代わって大学進学率が初めてトップの座を占めると予想しています。通信制高校始まって以来のことです。
「通信制から大学進学はムリ!」と見られていた時代は過去形になっています。
大学も、専門学校もともに将来どんな仕事につきたいかを前提にして選ぶとよいとされます。この場合「どんな仕事」を自分がしたいか、言葉にできないと始まりません。まずは思い切って言葉にしてみることがオススメです。
その言葉の内容は時間とともに変わっていくかもしれません。
世の中に「どんな仕事」があって、どれが自分に向いているか、それを続けていけるのか、そのお給料は・将来性はーなど検討項目は多いですね。自分や家族内だけでは行き詰まってしまう場合もありますから相談相手がほしいです。
一般的にはその相談相手は担任がになっていますが、通信制高校でも進路指導部署を設立して進路に関する情報を集約して質の高い情報を生徒にフィードバックできる体制をつくっている学校もあります。
◎入るための準備とやめないための準備
大学進学率が高まっている通信制高校です。学びリンクの通信制高校合同相談会で大学進学に関する講演・相談を受け持っている学びリンク大学進学アドバイザーの平野稔さん(元学校法人河合塾)はこう言います。
大学進学は「入る準備とやめない準備」が必要と。
さらに私が付け加えさせてもらえれば、やめた後の準備も。3つの準備が必要です。
入るための準備とは受験対策だけではなく、心の持ちようや体調を整える生活習慣を含んでいます。やめないための準備は、対人コミュニケーションがポイントです。
やめた後の準備は、やめた場合でも次の選択肢は必ずあるという考え方です。自信を失っても行動を起こせば打開策が見えるという感覚です。

3つの準備は心の持ちようでもあります。高校在学中も卒業後の生活のなかでも日常生活の浮き沈みの波があります。
例えば大学進学後も波があります。下の表は、私が事務局長を務めている通信制高校等の団体「新しい学校の会」が行った通信制高校卒業生アンケート調査です。大学退学率が一般学生の2~3%に比べると、通信制高校卒業生は卒業2年度・22年度卒業生で約9%、同7年後・17年度卒業生で約18%と高くなっています。さらに大学退学後「何もしていない」(バイト等もしていない)とする人が調査時点現在で前者約47%、後者約33%となっています。かなり苦しい状況の人が多いと推測できます。
大学進学をはじめ進学にしても、就職にしても、それぞれは目標地点ですが、同時に通過地点でもあります。そこを着実に通過していくためには3つの準備があると安心です。
一方、通信制高校卒業生支援は重要テーマですが事例は少なく、組織的に対応しているのは第一学院高校キャリアサポートセンターなど一部にとどまっています。現状はまだそのような組織的取り組みは少なく、卒業生と恩師との人間関係によるもの、同窓会的なものなどが見られます。

今回は、「進路決定率と卒業後を見越した在学中進路指導」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?
次回からは新シリーズ「高校生20%を通信制が占める日」についてご説明します。
新シリーズもよろしくお願いします。