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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校の多様な進路指導を考える②
「高校卒業できればいい」も重要な進路か!?

 2026年2月26日
 

◇◇「通信制高校の多様な進路指導を考える」(3回連載)
第2回 「高校卒業できればいい」も重要な進路か!?

◎高卒後アルバイト継続率は高い

 通信制高校に入学する目的は何でしょうかー。選ぶ人によってさまざまなものはあるでしょうが、共通のゴールは「高校卒業」だと思います。
 通信制高校でよく聞かれる「高校卒業できればいい」「高卒したあとはバイトでもいい」は、そのゴールに駆け込むための励ましのエールとも受け止められます。そこまで頑張ればプラスの何かが待っている と。

 次への展開を模索するうえで卒業後にアルバイトをするのはどうなのか? 今回はその実情を「新しい学校の会」で行った通信制高校卒業生アンケート調査(以下、卒業生調査)から探ります。
 下記の表1(卒業後2年後)、表2(同7年後)は、卒業生調査結果から「進路未定」だった人がその後「アルバイト」を経てどんな状態になっているかを見ています。「進路未定」は、2023年度から25年度までの調査時点で卒業2年後生・14%~15%、卒業7年後生・14%~20%となっています。

 卒業2年後生は2年間経過のなかで「アルバイト」に就く人が15%~46%となっています。比率に大きな差が出ていますが、21年度卒業生(46%)はコロナ禍明けの時期と重なるためアルバイト需要が活発になっていたと思われます。
 2年後現在は、途中経過で「アルバイト」に携わった人はいずれの卒業年度生も8割以上がアルバイト継続状態となっています。相対的に「何もしていない」という層は低率です。

 卒業7年後生は7年間経過のなかで16%~30%の人が「アルバイト」に就いています。こちらは18年度卒業生のアルバイト比率が高くなっていますが、やはりコロナ禍明けが要因と考えられます。
 7年後現在では、途中経過で「アルバイト」に携わった人は42%~67%がアルバイト継続状態となっています。「在職中」という人が23%~42%を占めるようになりアルバイトから正社員への転換も進んでいます。


◎アルバイトは戦術的に使う!?

 「高卒=ゴール」という見方からすると、進路指導はこの価値観と異にする場合が多いかもしれません。進路指導では高校卒業はゴールというより “途中経過”の大きなエポックというような感じです。
 通信制高校で他課程より比率の高い「進路未定」は、卒業というゴールテープは切ったものの次の展開をするには少し時間がかかる、あるいは何か意欲をかきたてるような工夫が必要といったところです。

 表3で見るように、一般論で言えば同じ働くならアルバイトより正社員のほうがメリットが多いかもしれません。一方で雇用形態自体は約30年間に渡る不況のなかで企業による人件費削減の一環で約37%が非正規社員となっています。しかもこの比率は増加傾向です。
 大きな視点から見ると、アルバイトのままでよいと思う気持ちはそれを固定化させられてしまう社会構造にあるでしょう。

 時給(最低賃金)は、15年度の798円から25年度に1,121円となりこの10年間で約4割アップしました。この面からもアルバイトはありかなと思いがちです。  
一方、生涯賃金ではアルバイトと正社員では仕事の内容がさほど変わらなくても大きな開きが起きます。

 では、アルバイトを継続している卒業生はどんな気持ちでその状態となっているのか下記に卒業生調査の自由回答(電話ヒアリング、オンライン調査記述)から見てもらいます。
 アルバイトを次のステップへ前向きに使っている人や、自分の体調に合わせてアルバイトしている人がいる一方で、何らかの理由で複数のバイトを掛け持ちしている人もいます。また、就職のタイミング(基礎知識でしょうか?)がわからなかったのでアルバイトをしている人もいます。
 自由回答を寄せてくれた卒業生は、アルバイト継続理由をどちらかと言えば肯定的にとらえている面があるように思います。自分にメリットのあるアルバイトの使い方を探してちょっと戦術的に考えている様子があります。この点がとても重要ではないかと思います。社会構造は非正規労働を増やそうとする傾向にありますから、それと一線を画して自分にとって何がメリットになるか考え続けることが大切です。

 保護者の方の意見はどうでしょうか? 卒業生調査は、電話ヒアリングとオンライン調査を併用しています。電話ヒアリングでは卒業生本人ではなくその保護者の方とつながる場合もあります。
 保護者の方の意見は、一言で要約すると「わが子は頑張っている」ということになるように思います。その頑張りを見守っている様子が伝わってきます。その視線は卒業生の後押しになっています。

《卒業生本人のアルバイト継続の理由》
・週5でアルバイトをしながら本業にしたい職業の資格について調べ資格取得への準備をしている。
・アルバイトで学費を貯め、来年度より看護の専門学校に進学します。
・起立性調整障害のため、週2、3日ですが、自分のライフスタイルに適したバイトで頑張っています。
・アルバイトをしながら就活しています。
・今は2つのアルバイトを掛け持ちしながら来年の進路に向けての活動をしています。
・アルバイト4つ掛け持ち。
・アルバイトをしながら俳優業をしている。
・就職のタイミングが分からずそのまま週5でバイトのフリーター。

《アルバイトを継続している卒業生保護者の意見》
・学校に通えなくなって通信制を選びましたが、卒業させるので精一杯で進路まで考えられなかったです。友人にすすめられたアルバイトをしてくれましたが、訳あって辞めることになり、昔短期でやったバイト先にまた短期で行く予定です。
・就職するつもりがあるのか、親としては不安です。
・アルバイトをしながら進学も含め将来の事を考え始めている様子。家の手伝いもしてくれている。
・現在も体調面や精神面での不安はありますが、自身の勇気と意欲で昨年より一人暮らしを始めました。仕事も自分のできる範囲で頑張っていて、実家からも援助なく慎ましくもしっかりと生活をしているようです。


 今回は、『「高校卒業できればいい」も重要な進路か!? 』についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

 次回は、「通信制高校らしい多様な進路をアピールする』についてご説明します。
次回もよろしくお願いします。