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「気になりますね!通信制高校」
新刊書籍から読み解く不登校対応②
『不登校・ひきこもりから抜け出す7つのステップ』から

 2021年9月2日
 

◇◇新刊書籍から読み解く不登校対応
第2回『不登校・ひきこもりから抜け出す7つのステップ』から◇◇

今回は、この6月に学びリンクから発行された『不登校・ひきこもりから抜け出す7つのステップ』(椎名雄一 著)から不登校・ひきこもりの状態から社会復帰(学校復帰)するまでを7ステップに分けた不登校対応をご紹介します。
著者の椎名雄一さんは自らも20代にひきこもりを経験し、その後、自身の闘病生活を人のために活かしたいと一念発起し、心理学、心理療法を習得しました。

◎【7ステップ×7ポイント=49】小さなステップで対応
この本では不登校・ひきこもりから社会復帰するための7つのステップと各ステップをクリアしていくための7つのポイントが述べられています。本書での社会復帰とは、主に学校復帰を想定しています。

まず「1か月部屋にこもっていたお子さんが、学校に行って試験を受けて帰って来る」。
この状態になるまでには、本人は50段階ぐらい考えなくてはいけないことがあるかもしれません。「リビングに出られるかな」から始まって、「親になんと言われるかな」「髪の毛が伸びちゃっているな」…などと。

一方で保護者の方の気持ちとしては一刻も早く学校に笑顔で通ってほしいと気持ちが焦りがちです。「さあ、その50段階を駆け上がって」というのが本音でしょう。

結果にたどりつくまでに50段階ぐらいのステップがあったとすればそれを一気に駆け上がるのには無理があります。
本書が想定しているのは、その50段階を細かく分けて【7ステップ×7ポイント=49】の小さなステップで対応していきましょうという提案です。

落ち着いて考えれば、それ相応の時間が必要になるとわかりますが、焦ってしまうのが現実でしょう。
本書でも、ステップ1を始める前に「ステップ0」として「気持ちを落ち着けてから関わる」をあげています。
保護者の方自身が焦っていたり、イライラしていたりすると伝えるべき大事なメッセージが伝わらないこともあります。「必要ならば一晩置いてから関わることが大事です」というようにクールダウンする時間があったほうがいいかもしれません。

◎自分の人生を豊かにするためのステップ
本書の7つのステップを概観してもらうと次のようになります。

ステップ1 ひとりにする
ステップ2 部屋からリビングに出られる
ステップ3 家での生活を満喫できる
ステップ4 感情の共有をする
ステップ5 家の外に意識が向く
ステップ6 外出する
ステップ7 学校へ


先に最終の「ステップ7 学校へ」のことをいうと、学校復帰という状態を想定していますが、これからの人生で欠かせないスキルを身につけるという意味合いもあります。例えば、共通の話題を話せる仲間を作ったり、集中できる役割や自分のポジションを手に入れたりすることです。

「ステップ1 ひとりにする」は、始まりのステップという重要さばかりでなく、7ステップを現実のお子さんの状態と結びつけて応用していくうえでも重要です。
ステップ1は、「何とかするために何もしない」。基本的には保護者の方が直接できることはありません。むしろ、7ステップを応用していくために「観察する」などの練習を積むステップとも言えます。

ステップ1で出てくる言葉に「同行二人(どうぎょうににん)」があります。これは、四国でお遍路する際に“ずっと弘法大師が一緒にいます” という意味だそうです。
ともに歩むことで「この坂道きついですね」「疲れが溜まってきましたね」「今日はいい出会いがありましたね」と道中を共有する感覚です。7ステップを応用するために慌てたり、先回りしたりせずにする心掛けに通じる言葉です。

「ステップ2 部屋からリビングに出られる」は、家族と関わる段階です。ここでは、どのくらいの加減で関わったら良いかその程度を見ていきます。

「ステップ3 家での生活を満喫できる」は、いろいろな感情を引き出すステップです。「嬉しい」「やってみたい」「くやしい」「憧れる」そんな感情がよみがえってこないで学校に行ってもみんなが楽しむ姿をガラス越しに見ているような感じになってしまいます。

「ステップ4 感情の共有をする」は、ステップ3で出てきた感情を共有することです。その際に、邪魔になるのは“余計な一言”です。先回りせず一歩うしろを追いかけるのがポイントです。

「ステップ5 家の外に意識が向く」は、外出欲求を高めるステップです。狙いは、「家の中のネタでは足りなくなってきた」「共有相手が家族だけでは物足りなくなってきた」という感覚を持ってもらうことです。

「ステップ6 外出する」は、外出を楽しめるようにするためのステップです。体力回復という意味で外出することも大切です。体力が落ちている時に行動しても疲れてしまい、頭も体も動かなくなります。そうならないためにも無駄に外出して体力を回復させておく必要があります。

「ステップ7 学校へ」のポイントは、「学校に自分を合わせていく」のでなく「自分に学校を合わせていく」という優先順位の逆転です。自分の人生を豊かにするために学校を選ぶという感覚です。この感覚を持つ上では、不登校・ひきこもりはプラスの経験になるでしょう。

今回は、『不登校・ひきこもりから抜け出す7つのステップ』(椎名雄一 著)からご説明しました。

次回は、『通信制高校を選んだわけ』(監修 山口教雄、取材 学びリンク編集部)からご説明します。
次回もよろしくお願いします!