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「気になりますね!通信制高校」
どうなるの?通信制高校卒業後 ー卒業生約1,600人調査結果から見えたものー①
初めての大規模卒業生調査の背景

 2022年4月1日
 

◇◇「どうなるの? 通信制高校卒業後」ー卒業生約1,600人調査結果から見えたものー(4回連載)
第1回 初めての大規模卒業生調査の背景

◎初の複数校卒業生調査の背景

「新しい学校の会」(桃井隆良理事長、略称:新学会)という私立通信制高校の団体がこのほど、通信制高校卒業生約1,600人の卒業後2年後、7年後の進路状況アンケート調査を実施しました。

新しい学校の会は、会員校相互の情報交換、研究などを通じて通信制高校などの発展を図ろうとすることを目的に2005年に設立されました。
今回のアンケート調査に協力したのは、同会加盟通信制高校13校。複数校による本格的な卒業後進路調査は初めてのことです。

卒業時の状況を「進学(留学含む)」「就職」「進路未定」3分類として、卒業後2年後(2019年度卒業生)、7年後(2014年度卒業生)の現在までの経過をたどっています。卒業2年後卒業生の有効回答数は1,045人、卒業7年後卒業生は同580人で、合計1,625人。調査期間は2021年12月1日から22年2月14日でした。

調査目的は、「柔軟な学びのできる通信制高校を選んだ卒業生の進路実態を調査し、在校生ならびに卒業生の有用な社会参画の方策を探る」とされています。

また、調査実施には次の2点の背景がありました。
1点目は、通信制高校卒業時、文部科学省がまとめている学校基本調査によれば進路未定者が通信制高校全体では約33%となっていることです。
これは、本メルマガ2021年1月8日号でもお伝えしていますが、全日制高校や定時制高校に比べ高い比率になっています。

進路未定者比率は、今回の調査でも学校間でかなりのばらつきはあるのですが、いずれにしてもどの学校も心配のタネです。
なぜ心配かと言えば一部の学校を除き、その後の経過を把握できていないからです。

今回の調査は、卒業後のエポックとなる成人式や専門学校卒業を迎える20歳前後(卒業後2年後)と、4年制大学卒業から数年たち社会生活を行う25歳前後(卒業後7年後)に焦点をあてて経過をたどろうとしたものです。

2点目は、通信制高校に入学する生徒は約6割が不登校経験を持っていることです。これらの生徒が通信制高校の柔軟な学び方を通じて卒業を迎えるのですが、その後自立した進路を選択できているか把握しようというものです。

◎卒業生とつながる方向で調査継続を





上の円グラフで見るように今回のアンケート調査結果と2021年度学校基本調査を比較すると、①卒業時の留学を含む進学率はアンケート調査の方が高く(卒業後2年後60.5%、7年後59.6%、学校基本調査46.7%、以下同じ)、②就職率は低く(17.1%、19.8%、20.5%)、③進路未定率は低く(22.4%、20.5%、32.8%)―なっています。
今回のアンケート調査対象者の卒業時進路の比重が「進学」にシフトしている様子が分かります。

今回の調査結果からは、次のようなことが分かりました。

①卒業時「進学」した人のなかで大学・専門学校平均退学率に比べると退学率が高くなっているが、なかでも4年制大学進学者の退学率が高い。
②卒業時「就職」した人は、2年後までに約25%、7年後までに約44%が退職しているが、その後は転職など社会参画の方向にある人が多い。
③卒業時「進路未定」だった人は、その後多様な進路に分かれるが、「何もしていない」という層が一定の割合で存在し、卒業後7年後にこの状態だと自らを「ニート」「無職」など否定的に捉えている。母校に「就職サポート」を望む声もあった。


―など卒業時の進路状況と卒業後の経過が読み取れます。次回メルマガではこれらの詳しい状況をお知らせします。

また、新しい学校の会では、今回の調査のまとめとして各校での卒業生調査実施・継続の必要性が高いのではないかと指摘しています。
今回の卒業生調査は、新しい学校の会内では初めてという学校が多かったものの卒業生の実情を俯瞰することができました。Web調査でも傾向を把握できるという指摘もあり、調査の実施・継続と関連する卒業生とのつながりの構築が期待されています。

今回は、「初めての大規模卒業生調査の背景」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「卒業後の進路変更は“あり”で考える」についてご説明します。
次回もよろしくお願いします!