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「気になりますね!通信制高校」
通信制高校卒業後の進路見通し①
進路未定者の卒業後

※2024年版はコチラ「通信制高校卒業後はどうなっているの?」(6回連載)

 2023年4月3日
 

◇◇「通信制高校卒業後の進路見通し」(3回連載)
第1回 進路未定者の卒業後

◎卒業生約4,000人を調べてわかったこと
通信制高校卒業時に進路未定だった人は2年後までに「何もしていない」人が約42%。
4年制大学進学者は7年後までに約16%が退学、専門学校進学者は2年後までに約13%が退学――。

このメルマガは通信制高校の良さ(メリット)を発信することに力を入れています。上記の内容は、この点から言えばデメリットなのですが、この実情を知ってもらうことが入学後の学校生活をどう組み立てるかにつながるものと思います。

現状では、通信制高校卒業後、卒業生がどうなっているかは一部を除きほとんどの通信制高校が把握していません。
上記のように通信制高校卒業生の一部に卒業後苦戦している実情があることが分かったのはあえて調査したからです。

これは、このほど発表された通信制高校卒業後の状況を追った新しい学校の会(桃井隆良理事長、略称:新学会)の第2回通信制高校卒業生アンケート調査の結果から明らかになったものです。調査は、昨年度に続き2回目の実施となりました。私は、この団体の事務局長をしています。

第2回通信制高校卒業生アンケート調査は、卒業後2年後(2020年度卒業生)と7年後の卒業生(15年度卒業生)を対象として実施しました。通信制高校卒業後、一定期間のなかで社会参画の変遷を追っています。
調査は、昨年11月から今年2月までに実施され、新学会に加盟する通信制高校14校の卒業生4,023人から回答がありました。

前置きが長くなりましたが、これから3回にわたって第2回通信制高校卒業生アンケート調査結果から卒業生がどんな状況となっているか、卒業時「進路未定」「4年制大学進学」「専門学校進学」3区分でご説明していきます。

◎「進路未定」の4割以上が「何もしていない」へ



そもそも通信制高校卒業生調査の実施背景には、卒業時進路未定者の割合が全日制の約4%、定時制の約16%に比べ、約31%と高い点があります。
通信制高校から次の進路へのステップが踏み出せず、社会参画するための土台が通信制高校の学校生活のなかで培われていないのではという懸念があります。

上のグラフは、卒業時進路未定者のその後です。左が20年度卒業生の卒業後2年間の経過、右が15年度卒業生の7年間の経過を見ています。

卒業から2年間の経過をたどると、動きとしては就職した人が約22%を占め一番多くなっています。アルバイトをしている人も約11%います。3分の1の人が働いています。

この一方、約42%の人が「何もしていない」状態です。調査では、自由記述で近況なども聞いています。
この中には、「専業主婦で子育てをしている」という実際には社会参画しているものの、自己評価が“何もしていない”という人もいます。また、「就職活動をしている」という人も含まれています。

近況コメントを見ると複数の人から「家に引きこもっている」というものが寄せられています。卒業後、早い段階で相談や支援が必要な人がいることが推測されます。
15年度卒業生の進路未定だった人の7年間の経過を見ると、約50%が「何もしていない」状態で、この状態が長引く様子があります。

一方、「就職」した人は、退職・転職なども含めてその後も活動的な様子があります。「3年間アルバイトしたスーパーの社員登用制度で正社員となった」という近況コメントからは一定の社会経験が自信に結びついてステップアップしている様子がうかがえます。

「何もしていない」状態から何らかの活動的な状態に移行していくためには、このコメントように一定の社会経験が必要と思われます。高校時代のアルバイトやインターンシップなどの体験も効果がありそうです。


今回は、「進路未定者の卒業後」についてご説明しました。いかがだったでしょうか?

次回は「4年制大学進学者の卒業後」についてご説明します。