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2020年12月22日

不登校生の在宅学習 成績評価に反映(経産省採択事業「OJaC」)

【開始3か月で177名がOJaCで学習を開始】

 

経済産業省が進める「未来の教室」創出事業で今年度の事業採択を受ける「OJaCプロジェクト」の中間報告会が、12月21日(月)、オンライン会議システム「ZOOM」にて行われました。

 

 

OJaCは、在宅学習を行う不登校児童生徒のオンライン留学プログラム。オンラインを通じた学習活動のほか、体験活動、部活プログラムなども受けられるサービスで、今年9月にスタートしました。経済産業省は、同プロジェクトを「不登校児童生徒を対象としたICT在宅学習モデルの構築」として「未来の教室」の実証事業に採択。OJaCでの活動が在籍する学校の出席認定を受けるほか、成績に反映できるよう、ガイドラインのモデルを作成するのが狙い。

 

 

 

 

プロジェクトには全国から17自治体が参画。9月から来年3月までの7か月間で様々なプログラムを実施し、事業の効果検証等の調査を慶応義塾大学の中室牧子研究室が担います。また、参画する各教育委員会や学校等からなるガイドライン評価委員会(座長:信州大学 林寛平准教授)が、活動を出席認定や成績に反映させるための評価基準となるガイドラインモデルを作成。この日は林座長よりガイドライン暫定案も発表されました。

 

OJaCによると、9月の利用開始から申し込みがあったのは250名以上。利用開始後に学校復帰した生徒もいるため、現在は209名が参加しているといいます。209名のうち実際に学習を始めた児童生徒は11月までに177名。学習に取り組んだ回数を示す月間の平均ログイン数は11.3回(30日あたり/土日含む)で、平日は1人当たり概ね2日に1回程度サービスが利用されているとのこと。月の最長学習時間では、小学生の利用者で月89時間52分が最も多かったと報告されました。

 

 

実際の学習には城南進学研究社が開発した「デキタス」を教材に採用。小・中学校5教科をそろえるほか、国が定める学習指導要領に即した単元が用意されている点が挙げられました。特に教科書別に学習計画を立てやすいシステムが、実際に成績評価を行う学校教員にとってメリットになるとされます。

 

一方で、利用者の特性に応じて多様な教材も必要となることから、株式会社COMPASSのQubena(キュビナ)やNPO法人eboardのeboard(イーボード)なども使用されていると報告されました。

 

これらのICT教材で学習活動を行いながら、人的サポートとして「チャット担任」が日常のコミュニケーションや学習管理を行うのが特徴。チャット担任からの発信は毎日行われるのが原則といいます。また、個別に「ステップシート」と呼ばれる学習計画を立て、チャット担任が進捗をフォロー。OJaCによると、11月までの3か月間で目標を設定した児童生徒は48名から66名、計画を作成した児童生徒は51名から70名で、後に計画を振り返るまでに至った児童生徒は15名から22名だったと報告されました。

 

 

【出席認定「できる」55% 成績評価「できる」15%】

 

学習活動のほか、同プロジェクトが提供する体験学習や部活プロジェクトなどへの参加も含めた利用生徒の活動状況について、OJaCが月次、学期末にそれぞれレポートとして各学校へ報告する仕組み。報告書は、それぞれの活動記録をもとに、ガイドライン評価委員会が策定した基準をもとに評価されます。

 

ガイドラインはあくまで評価反映のための参考基準となるため、OJaCによる報告書を実際の成績に反映させるかの判断は各学校や自治体に委ねられます。12月までにOJaCが提出したレポートの判断に関して各学校にアンケートを取ったところ、回答できる53校のうち出席認定に関して「できる」と回答したのは29校。「できない」と回答した6校のうち「学習履歴不足」を理由としたのは4校でした。一方で、成績などに反映する学習評価については8校が「できる」と回答。「できない」と回答したのは14校で、「学習履歴不足」を理由としたのは7校でした。検討中や不明と回答した学校の中には、各市区町村で足並みをそろえたい意向も多く、「できる」とする学校は今後増えていくと事務局関係者は説明しました。

 

 

【自己効力感向上など学習効果を検証】

【学校や自治体が評価しやすいガイドラインづくり】

 

事業の効果検証を行う慶応義塾大学の中室牧子研究室は、利用開始時に利用児童生徒のアンケート調査を実施。利用生徒の不登校状態は1年以上や60日以上と比較的長期間が多く、特に中学2年、3年生が多いのが特徴。学校以外での学習状況に関しては、「全く勉強していない」「30分より少ない」が全体の半数以上を占めていたと報告されました。

 

また、将来への不安について聞いたところ、「大変感じている」「少し感じている」で大多数を占めており、利用者の不安状況を示す「不安感情項目」では、複数項目に該当する利用者が大変を占めていたと話します。

 

これらの事前結果から同プロジェクトでどのような変化が起こるかが今後検証されていく点。学習活動の効果として、自己効力感の向上、不安感情の緩和、学習時間の上昇などを図り、一方で、学習時間が多い子どもの特徴、自己効力感が改善する子どもの特徴など、個別の子どもの状態に対して、どのような子どもに効果があるのかも図っていくと説明されました。

 

活動を出席認定や成績評価に反映させるための基準作りを行うガイドライン評価委員会は、8月より月1回の頻度で委員会を実施。座長を務める信州大学の林寛平准教授によると、「ガイドラインは全く新しいものを作るわけではなく、これまで国から出された通知等を踏まえて、より使いやすいものにしたい」と話します。

 

林さんはこの日、現段階でのガイドライン暫定案を発表。最終的には「出席認定・学習評価のためのガイドライン」「参考資料(法令・通知・資料等)」「OJaCにおける出席認定・学習評価マニュアル」の3冊にまとめられると説明しました。

 

学習評価については「知識・技能」「思考・判断・表現」の評価とともに「主体的に学習に取り組む態度」を軸に評価できるものとすると報告。一方で、林さんは「ガイドラインは必ず従わなければいけないものではなく、それぞれの自治体や学校が実情に応じてカスタマイズして利用してもらえれば」とし、学校そのものの成績評価の基準になるのではなく、「あくまで参考になり得る観点的評価」と補足しました。

 

一方で、OJaCの活動を在籍校が適切に評価する目安として、例えばICT教材へのログインを(=登校)とするのか、何らかの学習行為を(=出席)とするのかといった課題が残ります。「1秒でもログインをしたら学習したことになるのか」「ICTは24時間学べる特性上、日付をまたいだ場合のカウント」など、判断の難しさも残り、今後委員会の中で議論していくとしました。

 

プロジェクトに参画する北海道長沼町の間嶋勉教育長は、「振り返り学習のため下の学年の履修内容を学んだ結果、在籍校の成績に反映されないという事例も聞いた。個別最適化の学習がなかなか結果につながらないことを考えると、学びや学校とは一体何かという根本的なところまで立ち入って考えざるを得なかった」と話します。「オンラインの在宅学習が、履修主義や習得主義など、学び、それ自体の再考を私たちに迫っているようにも感じられる」と感想を述べました。

 

OJaCを運営する株式会社クラスジャパン学園の中島武代表は、「国が不登校児童生徒の在宅学習を認める政策は以前からあったものの、保護者、学校教員にまで認知が広がらなかった。原因は圧倒的に利用事例が少ないことで、このプロジェクトは在宅学習によって在籍校の出席認定、成績評価ができるという利用実績を増やすことにある。しかし、学校現場は様々な課題を抱えそこまで手が回らないのが現実。民間の教育機関がサポートすることによって一つの仕組みづくりが今回の狙い」と話しました。また、今回は経済産業省の採択事業ではあるものの、「文部科学省、総務省の方々とも一緒になって作っていきたい」と省庁を超えた協力を呼びかけました。

 

 

2月21日埼玉県さいたま市大宮通信制高校・サポート校合同相談会

3月7日神奈川・横浜通信制高校・サポート校合同相談会

3月20日東京・新宿通信制高校・サポート校合同相談会

 

2月28日愛知県名古屋市通信制高校・サポート校合同相談会

3月14日大阪・梅田通信制高校・サポート校合同相談会