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2018年07月27日

夜間中学「法見直し」に向け議員連盟と意見交流(東京・千代田区)

夜間中学の設置・拡充を求めた教育機会確保法の施行から約2年を受け、各地の動向や制度改善について考える意見交流会が7月27日(金)、東京都千代田区永田町の衆議院議員会館で行われました。

 

 

夜間中学は戦争の混乱や不登校など、様々な事情で義務教育を修了していない人たちが学ぶ場所。義務教育未修了者は政府推計でも全国に約70万人以上いるとされていますが、そうした人たちの教育保障の場となる公立夜間中学は、現在、8都府県に31校しかありません。こうした実態を受け、超党派の国会議員による議員連盟を中心に法整備が進められ、教育機会確保法(※)が2016年に国会で成立しました。

 

教育機会確保法成立を受け、最初に設置に向けた動きを見せたのが埼玉県川口市と千葉県松戸市です。2市とも来年4月の公立夜間中学開校が決定されています。ともに30年以上にわたり、ボランティア団体が「自主夜間中学」として地域の学び直しをフォローしながら、設置団体を設立して自治体との交渉を進めてきました。

 

それぞれ生徒募集を始めていますが、開校に向け、いくつかの課題も残るようです。川口市立芝西中学校陽春分校での開校を控える川口市について、報告を行った「埼玉に夜間中学をつくる会」代表の野川義秋さんは、入学条件や養護教諭の配置、就学援助の問題など複数の課題を指摘。給食についても実施の予定がなく、野川さんは「日中働いて学校へ来て、腹ごしらえもしないまま学ばなければいけないのは、生徒たちの学ぶ条件として好ましくない」と話し、今後も行政に要望を出していくと話しました。

 

 

 

松戸市立第一中学校みらい分校については、入学資格の中に「みらい分校の生活に支障のない方」との記載があります。これについて「松戸市に夜間中学校を作る市民の会」代表の榎本博次さんは、「障害を持っている方は難しいですよということになります。この問題についても私たちとして声を上げて、希望される方には相談に乗りたい」と話しました。

 

所管する文部科学省はこの日、教育機会確保法施行後の取組みについて報告を提示。今月上旬には各自治体で進められていたニーズ調査の結果をガイドラインとして公表しており、また、この日の14時には、設置拡充に向けての手引き(第2次改訂版)を文部科学省HP上で公表するとしました。報告を行った文部科学省初等中等教育局の高橋道和局長は、6月に閣議決定された第3期教育振興基本計画の中に「すべての都道府県に少なくとも一つの夜間中学が設置」される文言が盛り込まれたことを挙げ、「これまでも文科省決定として基本指針には盛り込まれていたが、今回は政府としての意思決定。各都道府県はじめ地方公共団体に対してより影響力をもつものとなる」と話しました。

 

夜間中学拡充には、行政や支援団体等の連携が必要不可欠となります。同法15条では、各都道府県と市町村が就学機会の提供等について調整を行う「協議会」の設置について明記されていますが、多くの自治体で設置が進められていないのが現状です。また、設置がされても十分に機能していない実態もあります。川口や松戸と同様に30年近く設置運動を続けている北海道札幌市の現状について、「北海道に夜間中学をつくる会」代表の工藤慶一さんは、「現行の協議会にはいくつか課題がある」と指摘。「支援を行う民間団体を構成員に入れていない、知事や市町村長の参加が皆無であることから、法律に則った協議会が一つもない」と訴えました。 

 

 

法施行から様々な課題や改善点見えてくる中、主催者で全国の夜間中学校関係者で組織される「全夜間中学校研究会」ほか関係者より、元文部科学大臣で夜間中学等義務教育拡充議員連盟会長の馳浩議員宛てに要望書が提出されました。馳議員の代理で要望書を受け取った笠浩史議員は、「次の臨時国会が始まった頃には改めて議員連盟を開き、具体的にどのような見直しをしていくのか、一つ一つできることを実行していくとお約束したい」と話しました。

 

 

 

●夜間中学の基本的な内容、実態を知るガイド

『全国夜間中学ガイド』について

 

(※)義務教育の段階における普通教育に相当する機会の確保等に関する法律

不登校児童生徒や義務教育未修了者の教育機会確保を目的とした法律。超党派の国会議員で組織されたフリースクール等議員連盟、夜間中学等義務教育拡充議員連盟によりそれぞれ法整備が進められ、2016年12月に成立した。公立夜間中学の設置、拡充を目指した条文が明記されたほか、不登校児童生徒の「休養の必要性」やフリースクールなど「多様で適切な学習活動の重要性」についても明記された。

 

夜間中学設置に係るニーズ調査ガイドライン

夜間中学の設置・充実に向けて【手引】(第2次改訂版)文部科学省