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ニュースの読み方・社会の見方⑩
「世論調査から世相が見えますか」

 2019年1月7日

 
内閣支持率の推移/10社の調査データとその平均を基に算出したPML Index指標(2018年11月まで)


報道機関には世相を描く役割があり、その活動の一つとして「世論調査」があります。
世論調査とは、社会的な問題や政策などに対する一般大衆の意見や判断、態度などを数量的に調査し、統計数値として表すものです。国や地方公共団体は自らの政策に対する世間の動向を知るために行いますが、報道各社はそのときどきの重要な政策や重大な出来事に対する社会の反応を調べるほか、内閣支持率や政党支持率などについては定期的に調査を行い、その変化について批評しています。

では、具体的な例として内閣支持率について見てみましょう。
2018年12月に入ってからの報道各社の調査結果では次のようになっています。
●朝日新聞(12月15・16日) 支持40%/不支持41%
●読売新聞・NNN(12月14〜16日) 支持47%/不支持43%
●毎日新聞(12月15・16日) 支持37%/不支持40%
●NHK(12月9・8日) 支持41%/不支持38%
●共同通信(12月15・16日) 支持42.4%/不支持44.1%
●時事通信(12月7~10日) 支持38.9%/不支持38.7%
●JNN<TBS系列>(12月1・2日) 支持52.8%/不支持44.3%

各社とも前月に比べて内閣への支持が減って不支持が増えており、その原因として出入国管理法改正をめぐる政府の強引な国会運営や沖縄・辺野古基地建設における土砂投入などを挙げているところが多いようです。

これらの数字を見てみなさんはどういう感想を持ちますか。
支持率ではもっとも高い社が52.8%、もっとも低い社が37%と大きな開きがあります。「信用できるのかな」と思う人もいるでしょう。この差は、社によって条件が異なること(実施時期や対象者、調査人数、手法、質問の仕方など)によるものですが、それぞれの推移グラフに注目すると、ほとんどの社のデータが同じような変化をしていることがわかります。12月の数値は、どの社も支持率が下がり、不支持率が上がっているのです。1回だけの数値ではなく、それぞれのデータの変化をチェックすることが重要なのです。それから各社のデータを比較するという見方をしてみてください。

ほとんどの社は、内閣支持率や政党支持率などの毎月の調査や大きな出来事があったときの緊急調査を「RDD方式による電話調査」で行っています。これはコンピューターで無作為に数字を組み合わせて電話番号と同じ桁数の番号を作り、そこに電話をして回答をしてもらう方法です。この“無作為”というところが大事なところです。さらにさまざまな条件を考慮して補正をするので、各社による手法の違いが出るようです。
ちなみに、朝日新聞の12月調査は、固定電話で1,003人(回答率52%)、携帯電話で916人(回答率47%)の計1,919人から有効回答を得て集計しています。人口と比較すると少ないと思うかもしれませんが、統計学的には意味があるということです。

みなさんには世論調査のデータから社会がどう見えるでしょうか。どのように受けとめて何に生かすか、みなさん自身で考えてみてください。