【学びリンク公式SNS】
フォロー/登録よろしくお願いします!

X(旧Twitter)  Instagram  Facebook  YouTube  LINE 

椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』⑧
「子に教わる」という関わり方(良い弟子の条件とは?)

 2022年7月29日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

今日は「子どもに教わる」という話です。

学校というのは基本的には「教わる(学ぶ)」ところです。
その一方で「後輩に教えたのがとても楽しかった」「ライブ配信でゲームの初心者に解説するのが楽しい」という中高生は少なくありません。残念なことに現在の学校教育では「教わる」「学ぶ」という機会は多くても「教える」という機会はあまりありません。

「教える」と「教わる(学ぶ)」はコインの裏表です。

「教える人」がいて「教わる人(学ぶ人)」がいて交流するから成立します。そのコインの裏表を両面から見ている人と片面しか見ない人では理解度、視野の広さが違います。
私は人前で講演、講義をするのが仕事ですが、学校の先生に講演する時と企業で講演するときでは講演の雰囲気が違います。
先生は「教える」ということに慣れていますから「教わる」という立場になっても相手の気持ち(この場合は私、椎名雄一)がよくわかります。最初の挨拶をした時から顔をあげ、笑顔でうなづいてくれます。そして、適宜質問をして講師の良さを引き出しつつ学ぼうとします。

一方で企業では「教える」ことをしたことがない人が多いので、こちらの立場は理解できません。個々人が自分が「教わる」「学ぶ」ための姿勢をとるので一般的に閉じています。自宅でオンライン教材と向き合うようなモードで講義が始まります。そこからは講師の力量でもありますが、多くの場合、「教える」が得意な学校の先生ほど深い授業をすることはできません。
YouTubeの動画のような決まったことを話して終わりです。

「教える」という経験が「教わる」「学ぶ」という経験を深めてくれます。

大谷翔平選手が投打の二刀流をする中でピッチャーとしてその日の試合のマウンドに立っていることはバッターとしての視野の広さにおそらく繋がっていると思います。単純に言えば、「ピッチャーだったらここはこう考えるな」「この暑さだから相手のピッチャーもそろそろ体力が落ちてくるな」といったような気づきが得やすいということです。

アルバイトをして「店員」をやったおかげで「お客」としての振る舞いが変わったという高校生がいます。YouTubeの「配信者」をやったおかげで「視聴者」としての感覚が変わった生徒もいます。
「教える」内容がゲームや動画制作だったとしてもスマホの使い方だったとしても「教える」という行為がどんな気持ちと結びついているのか?どんなコツがあるのか?それが体験として理解できることは大きな意味があります。
さらには親自身も「教える」「導く」「育てる」「褒める」「評価する」といった自分が上の立場だという前提での関わり方に変化を出して、「教わる」という関わり方をすることで子供たちが嫌がる「上から目線」を回避することもできます。

お子さんが「教わる」「学ぶ」ことがつかれてきた時には「教える」をやってもらう。それもゲームやスマホについて教えてもらう。それが親子の関わり方の変化やコインの裏表を見せることにつながります。ぜひこの夏に試してみてください。