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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』10
共感されることが嬉しい(親も子も感情の共有が必要)

 2022年9月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

今日は「共感されることが嬉しい」という話です。

保護者会を見ていて、よく感じるのが「うちはこういうことに困っていて」「わかります!うちもです!」「あるある!!」と爆発的に共感し合うとみなさん様子が変わることです。安心して急に周囲が良く見えるようになったり、話し方が穏やかになったりします。
それは「共感されて嬉しい」という経験を身をもって味わったからだと思います。

保護者といえども人間ですから

・子育ての大変さを誰とも分かち合えていない
・幼少期からあまり人に共感してもらう経験をしてこなかった
・ふだんから一人で頑張っていることが多い

そんな状況が続けば自分自身の心の中にたくさんの表現されなかった思いが渦を巻き始めます。保護者会で「共感してもらう」という体験をすることで「共感されるとこんなにスッキリするのか!」「生まれて初めてちゃんと共感されたかも」となる方も少なくありません。

そして、その経験と気持ちのゆとりを持って、お子さんに「共感」を試すと驚くほどうまくいきます。「今日やってみましょう!」と言った日の夜には「聞いてください!こんな話題で共感しあえました」と報告がたくさんくるくらいです。

自分自身が感情を溜め込んでいるのにお子さんの気持ちをちゃんと聞くことは難しいですよね。自分自身の気持ちがまず共感してもらえること。「やってもらう側」「聞いてもらう側」を先に体験しておくことは「共感の嬉しさ」をしっかりわかってお子さんを導くためには非常に重要です。

悩みが深い時期には「自分の感情が間違っている」と思う人も多いです。「不安だ」と今の自分の気持ちを誰かに伝えても「それはこうすれば良い」「そんなことを言ってないでまずこれだ」「私だって不安になることくらいはある」とちゃんと伝わらない経験をしていると自然に湧いてくる自分の感情すら信じられなくなってしまうからです。その感情が他の人の迷惑になっていたり、社会にとって不都合だったりしても感情というのは論理ではなく、出てきてしまうものですから「今、そういう気持ちになっているんだね」ということをそのまま受け止める(その感情は間違っていないよと反応する)ことは自分自身を認め、信用し、自信をつけていくプロセスにおいて非常に重要です。
まずは保護者自身が自分の気持ちを誰かにたくさん聞いてもらって、「自分はそういう気持ちになってもいいんだ」と自信を持ってください。それがお子さんの話を聞く余裕につながり、最終的にはお子さん自身が自分の気持ちを大事にしていいんだというメッセージになります。