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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』14
ドタキャン問題と3つの脳(我が子は嘘をついていない)

 2022年10月28日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

「昨日まで学校に行くと言っていたのになぜ朝になるとドタキャンするのでしょうか?」
「大学に行きたいと言うのになぜ勉強しないのでしょうか?」
確かに「なぜ?」と思いますし、「やりたいならしっかりやりなよ!」とイライラしてしまうこともあるかと思います。

「ドタキャンを攻略できると不登校の出口が見える」
と言う保護者も多いくらいこのテーマは重要かつ攻略が可能です。
動物によって脳の構造は違います。

1)恐竜やトカゲにもある脳が脳幹(体のコントロールをする)
2)犬や猫は2階建てになっています。脳幹+大脳辺縁系(心のコントロールをする)
3)人間は3階建て、脳幹+大脳辺縁系+大脳新皮質(言葉や言語処理など)


つまり、人間の脳は
3階部分 大脳新皮質(理屈)
2階部分 大脳辺縁系(心)
1階部分 脳幹(体)

の3層になっているわけです。

そして困ったことにそれらの脳はいつも同じ方向を向いてくれるとは限りません。
大脳新皮質(理屈)はやろうと思っていても脳幹(体)がだるくてやれないこともあります。
この脳と脳の意見が一致しないことを「葛藤(かっとう)」と呼びます。
不登校は葛藤が複雑に絡み合った状態と言えます。

葛藤といえば、ダイエットも葛藤ですね。
「ダイエットするには適度に食べて適度に運動することが大事」という理屈は誰でも知っていると言っても良いと思います。ダイエットに挑戦している人でこの理屈を理解していない人はいません。大脳新皮質ではそれを理解しています。

では、なぜ大の大人がことごとくと言っていいほどダイエットに失敗するのでしょうか?
それは「ケーキを食べたい」「飲み会の誘いを断りにくい」のような理由で気持ちがダイエットに協力してくれないからです。大脳辺縁系ではダイエットよりも食べる方を優先していたりします。
さらには眠かったり、寒かったりと体の事情で運動をサボることもあります。脳幹も協力してくれないことがあるということです。

私たちの脳は1)脳幹 2)大脳辺縁系 3)大脳新皮質 の順番でパワーがあります。
つまり、体がだるかっり、熱を出していたら心や理屈は役に立ちませんし、心を奪われてしまえば理屈ではなかなか抵抗することはできないのです。

「明日から学校に行くよ」とお子さんが言ったとしてもそれは大脳新皮質が理解して、理屈で判断したに過ぎません。翌朝、大脳辺縁系が「不安だ不安だ、、」となったり、脳幹が「今日は体が動かない」となれば大脳新皮質は負けてしまうのです。
それを「昨日は行くと言ったのに」と責めてしまえば「だったらもう頑張らない」「行けると言わない」となってしまいます。

不登校の問題は少なくともダイエットよりは難解です。人間関係や能力なども関わってくるからです。「なぜ?」と思ったりイライラした時にはダイエットを自分がするとして、自分だったらできるのか?を想像してみると良いと思います。
「ダイエットもできないくせに不登校を改善しろと簡単に言わないで」これが中高生の感覚です。

ダイエットに挑戦して、お子さんの葛藤を疑似体験してみるのも良いかもしれません。