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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』17
幻想を押し付けるのをやめよう(自分じゃない誰かを育てている)

 2022年12月16日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

2022年も終わり、新しい1年が始まります。
かつて「暦(こよみ)」という概念や文化を作ってくれた人がいたおかげで私たちは約365日ごとに人生に節目を作ることができます。

去年はこうだった、、、今年はこうしようかな?

そんな機会を持って、人生を振り返ったり、気持ちを新たにすることはとても大事です。
さらには1週間を7日間にして、平日と休日に分けて、午前と午後に分けて私たちは生活をしています。7時前後に動き始めて、夕方から夜にかけて活動を終えて、夜は眠る。

こうして私たちの中には目に見えない「枠組み」が出来上がりました。
昼夜逆転をしてみたり、曜日を無視してみたり、1年間というサイクルを無視すると「枠組み」を大事にする人、信じる人からは責められますが、それ以外の問題は起きません。

実際にアーティストや個人事業主、一次産業、製造業にたずさわる人などは変則的なリズムで生活をしている人も少なくありません。夜中に創作意欲が湧くアーティストはたくさんいますし、真夏の農家は日の出前に働いて、日が登ってきたら暑いので昼寝をして、夕方を待ったりします。休日が稼ぎ時の人もいれば、休日がお休みの人もいますね。
駆け出しの個人事業主などは休日も夜もなく働いているかもしれません。

「枠組み」を作った人は遥か過去、歴史上の人物になってしまい、「なぜ、曜日は7つなのか?」「なぜ、9時くらいから夕方にかけて働くのか」がわからないまま従っている人が多い社会になりました。
「学校」「英数国理社」「出席日数」「中学3年間・高校3年間」「文系・理系」のような概念もすべて「枠組み」です。

2022年に私が出会った中高生の中には「社会運動をちゃんとした形で実施している中高生」がいたり、「メタバースの世界を構築できる中高生」「魅力的な曲が作れる中高生」「驚くほど素晴らしい小説を書く中高生」などさまざまな才能を持った子がいました。

小説を書く子は「学校の国語の先生は小説も俳句も歌詞もキャッチコピーも作れない」と言って独学で小説を書いていました。作曲をする子も「音楽の先生はコード進行を教えてくれないし、DTMを知らない」と独学で作曲をしていました。

メタバースの子に至ってはどの科目の先生を頼ったら良いかすらわかりません。エクセルを形式的に教えてくれる情報の先生では到底辿り着けません。社会運動をしている子は「学校の意味がないレポートの山で時間を取られてやりたいこと、やるべきことをする時間が奪われる」と言っていました。

上記の子は世間一般的には「不登校」と呼ばれます。
自発的に学び、枠組みを超えて行動し、誰からも教わらなくても専門家の領域にまで到達している彼らは「不登校」で、完全な受け身で先生の与える知識を何も咀嚼せずに聞いている子供たちは「登校」していることになる。

「受け身の子が認められる社会」と上記の子たちは共通して言います。
さらには「生まれてから20年近く教室に閉じ込めておくならば、それに見合うだけの中身を提供する覚悟を持って指導して欲しい」と子どもたちは言います。

お子さんの取り組んでいる宿題やレポートを1週間で良いので一緒にやってみてください。
「おお!これは未来に希望が持てるし、人生のスタートには欠かせないな」と実感ができるでしょうか?
それとも「これは人生を無駄にさせられているな」と思うでしょうか?

「枠組み」は生み出した人が歴史上の人物になる頃になると形だけが残り、ちゃんと考える人がいなくなってしまいます。「不登校」の傾向があるお子さんはいろいろな表現がありますが「人生を浪費させないで」と言っているように聞こえます。

日本の経済、教育、環境問題、国際情勢、、私がコメントできないような話題も含まれていますが、私たち社会を支える親世代が「枠組み」をちゃんと見直して、大事な子どもたちに受け継ぎたいなと僕は思います。1年の節目として、私の思いを書いてみました。

通信制高校は教育において「新たな枠組み」を生み出す制度としてはかなり優れています。
中高生の生の声を聞きつつ、新しい枠組みをさらに模索して2023年を過ごしたいと思います。興味がある方はお声がけいただけると嬉しいです。