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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』32
我が子の将来が心配

 2023年10月6日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

保護者として、我が子の将来を心配することは自然なことですね。特に自立して社会で生きていく能力を身につけられるかどうかはとても重要で深刻な悩みになります。

最近ある保護者からの声を耳にしました。
「通信制高校を卒業したらその後どうなるのでしょうか?」
「子供は高校を卒業しても、家から出ないでゲームばかり、これからどうなるのだろう?」
「推し活に月10万円くらい使っていてこれで自立できるのだろうか?」
多くの保護者が我が子が本当に自立していけるのかという不安を抱えています。

一般的に
「もっと厳しくするべきだ」「苦手なことを見つけたら克服しないと」「みんなと同じことをすべきだ」そして「自分が若かった頃は…」となってしまいます。この論調は保護者だけでなく、学校の先生や医師などにも見受けられます。

それを受けて、保護者が一生懸命に頑張るほど結果が出なかったりします。
お子さんはどんどん元気がなくなり、目が死んでいってしまう。あるいはゲームや推しなどの活動に熱中して、現実がどんどん見えなくなっていく。
保護者としては「自分が悪かったのだろうか?」と不安にもなります。「もっと厳しくすべきか?」「もっと甘やかせるべきか?」それすらもわからなくなってきてしまいますよね。

こんな時に一番大事な観点は「学校」ではなく「人生」に責任を持たせることです。
「学校」を中心に考えている子は「学校のルール、文化に合わせられるか?」を基準に考えています。それでは正しさを探し続けることになりますし、自分から人生を楽しもうという発想は出てきません。

一方で「人生」を中心に考えている子は(人生という大袈裟な言葉ではないと思いますが)「自分は何が好きなのか?」「何をしてみたいか?」「どういうことを避けたいか?」を基準に考えています。正しさが自分の中にあるので理不尽な学校のルールや社会の決め事についても「意味がわからない」と拒否することすらできます。自分が自分の人生に責任を持つために学校が役に立つならば活用するというスタンスだからです。

冒頭に出てきた「どうなるのでしょうか?」という将来の不安には主体的な思いがあまり入っていません。どういう傾向がありますか?どう助けてくれますか?とさえ受け取れます。

「通信制高校を卒業したら(人生を)どうしたいですか?」

自分の人生を主体的に考えて、より充実させたり、楽しむためにどういう生き方をしたら良いかを考えることはとても大事です。そして、それは学校の役割ではないことがほとんどです。お子さん自身が人生をどうしたいか?保護者はどんな人生を生きて、お子さんに見せているのか?周囲の他の大人はどうか?

それによって「通信制高校を卒業したらこうしたい」が出てきます。

「通信制高校を卒業して、税理士になれますか?」と聞かれればその道を示すこともできますし、やり方もサポートもあります。将来に対してノーアイディアなのはお子さんが将来について考えようとしないこともありますが、保護者がも「一般的にはどうですか?」「この学校にいれたらどうなりますか?」という視点から抜け出せていないことにも要因があります。

我が子の好き嫌いはなんだろう?強みはなんだろう?
社会のどこにいたらより強く輝くのだろう?
お子さんが社会に出るころにはどんな職業があるのだろうか?

保護者自身が10年後の未来をちゃんと考えること。お子さんの特徴をしっかり掴むこと。広い視野で生きる場所を探すこと。そして、「通信制高校を卒業したらこうしたい」とお子さんが見つけられるようにするにはどうしたら良いかを考えていくことが大事だと思います。

学校は「それぞれの人生設計」までは教えてくれません。
「将来どうしたいですか?」と聞いて、答えてくれた生徒に協力することはできます。
保護者として「生き方」「将来」「人生」という大きなテーマをお子さんに伝える工夫をぜひしてみてください。簡単なことではありませんが、非常に非常に重要なことです。