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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』31
学校選びで一番大事なこととは

 2023年9月21日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

人間関係・コミュニケーションとは「マッチング」の要素があります。

単純に「おはよう」と声をかけられたとしても相手が先生ならば「おはようございます」ですしクラスメイトならば「おはよう」親友なら「おう!」かもしれません。「誰とコミュニケーションをしているか」で答は自ずと変わってきます。

しかし、実際にカウンセリングや学校選びの現場では「どの学校がいいでしょうか?」という質問が飛び交う一方で「お子さんが何者であるか?」が語られない場合が多いのです。

「今、中3で4月から学校に通えていません。男子です」

これではその子がジャイアンみたいな子なのか?スネ夫みたいな子なのか?のび太みたいな子なのかイメージができません。(もちろんその3択では表現しきれませんが)

それぞれの顔を思い浮かべてみると、、、「全員に同じ学校を薦める」とはならないかもしれません。それぞれ性格も好みも個性も違うからです。

どんなゲームが好きなのか?どんなSNSを見ているのか?好き嫌いは?口癖は?何をしたら喜ぶのか?どういうことが苦手なのか?何をされると怒るのか?・・・それらがわかると「うちの学校にもそのゲームが好きな子がいますよ」「あの子と話が合いそうですね」とお子さんの顔が思い浮かぶようになると急に話が鮮明になってきます。

合同相談会に来て、講演会を聞いて、資料をたくさん持って帰れば「情報を得る」という意味では十分かもしれません。しかし、人間関係やコミュニケーションが「マッチング」であると考えるとそれでは不十分ですね。

お子さんや保護者の皆さんが「何者であるか?」が開示されていないからです。

普段は真面目で口数が少ない先生でもお子さんが「鉄道が好き」と言った瞬間に「私もですよ」と笑顔になって、流暢に話し始めるかもしれません。コミュニケーションとは「ひとりごと」ではないからです。

これは保護者にも言えます。
ただ遠くから話を聞いて、資料を集めている方は何を考えているかわかりません。もしかしたらパンフレットに書いていない重要なことが助けになるような時には保護者がどういう人か?何に困っているのか?「その人の顔が見えるような関わり」をしてもらえると「それだったらこれはどうでしょう?」とその方に合った提案もできます。

不登校の問題の根底にはコミュニケーションの問題が隠れていることが多いです。そしてオープンに関わることをせず、姿を見せないようなコミュニケーションがその問題をより難しくしてしまっていることは少なくないのです。

僕もこの業界は長いですからたいていのことはヒントなり、解決方法を持っています。しかし、「私は大丈夫です」とコミュニケーションを始めてもらえなければヒントを出すこともできません。「早く姿を現して、相談してくれたらいいのにな」と思うことはよくあります。

学校選びで大事なのは双方の顔が見える「マッチング」をしているということです。

それこそマッチングアプリで自分の顔も素性も書かずに誰かとマッチングしようとしているような状態かもしれません。自分は顔を見せずに良さそうな相手を探し続けても相手にはあなたの顔が見えていない。それでは相手は微笑んで良いのか怖がって逃げたら良いのかわかりませんね。

そう考えた時に「お子さんは何者であるか?」「何が好きで?」「どういう友達が欲しくて?」「ゲームのプレイスタイルはどんな感じ?」と説明できるでしょうか?もしかするとまずやるべきなのは「お子さんのことをよく理解すること」なのかもしれません。

ある意味で「お子さんのトリセツ」が作れる家庭とそうでない家庭では協力者を得られるかどうかが大きく違います。お子さんの説明をし終わった時に「該当者1万人のような説明」に留まるのか?「それはこの子だけという説明」になるのかは大きく違います。一番近くにいる保護者がその精度を上げることはとても大事なことです。

ぜひ家でのコミュニケーションを一歩前に進めてみてください!