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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』35
「好き嫌い」「価値観」「夢」「志」

 2023年12月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

最近はお子さんとあまり会話をせずに「居場所」などを探す方が増えてきました。確かに思春期で悩んでいるお子さんと話をするのは難しいからあまり相談せずに学校を決めるしかないという状況はわかります。一方でだからこそ今がそういう話をするチャンスでもあると思います。

「進路どうする?」
と質問をするのは不調のお子さんや学校に行けてないお子さんにとっては
「ドバイのどこに住む?」
と言っているくらい飛躍があります。

「そもそもドバイってどこ?」「何語を話すの?」「どうやって住むの?」「お金は?」と前提条件がわからなすぎて何にも言えないような感じになります。

まずは好き嫌いを・・・

進路=判断をするからには基準が欲しいところです。一番簡単な基準は好き嫌いですね。
だからと言ってどの学校が好き?と聞いても答えてはくれませんが、どのアニメが好きか?どのキャラが好きか?どの声優さんが好きか?どういうゲームが好きか?などは答えられるかもしれません。それを100個聞いたとしたら「だいたいこういう傾向があるよね」と価値観がわかるようになってきます。「友情を大事にしている」とか「圧倒的に強いの好きだよね」「辛い思いをしてるキャラクターに共感しやすいよね」と価値観が垣間見られる言葉が聞けたりします。

好き嫌いを積み重ねていくと「価値観」が見えてきます。

「自分はこれが大事」「こういうのがかっこいいと思う」「こういう人になりたい」
「人を悲しませては行けない」「平等よりも公平が大事かもしれない」
そんな価値観をたくさん集めていくと「夢」が見えてくるかもしれません。

自分がよく言っている「価値観」を
実際に実現するには「医者」になろうかな?「税理士」になろうかな?「保育士」が良いかな?といった感じで「夢」が出てきます。

そういう意味でもそのベースとなる「好き嫌い」についてたくさん考えて、自問自答したり、誰かと会話をしていく必要があります。「自分はこれが好きなんだ」と理解しないとその先が見えないからです。

「で、、学校どうするの?」「フリースクールは?」「勉強は?」と同じような質問ばかりしていても「それは嫌い」「それは嫌だ」しか出てこないかもしれません。

「ポケモンは?」「ピカチューは?」「フォートナイトは?」「ケーキ作りは?」「クロワッサンは?」「葬送のフリーレンは?」「サッカーは?」「キャンプは?」「ゆるキャンは?」「ネイルは?」・・・・問いは無限にあります。

「それは好き」「それはさ、、、、」たくさんの回答が得られるかもしれません。つまり、その多様な好き嫌いの山の向こう側に価値観があります。

唐突に「どうするの?」と聞くよりもその素材になる質問をたくさんしてみてはどうでしょうか?

最後に「志」ですが「夢」と何が違うか?
最近は子どもたちに「夢」を語らせようとする教師や親をよく見かけます。
「夢」とは職業名でしょうか?「夢」とは勉強をする理由でしょうか?

私の夢は「医者」になることです。と言った子はひとりで勉強を続け医者になります。親族以外が応援してくれることはあまりありません。これは「夢」と呼ばれるものです。

「私は医者になって癌で苦しむ人の助けになりたい」と言った場合、癌で苦しむ人や同じようん考えている人たちがその人の周りに集まります。応援してくれます。協力してくれます。それはみんなの共通の目標になるからです。これを「志」と呼びます。教師や親が職業名を選ばせて、ひとりでできるようなゴールを目指させて仕舞えばその子は基本的に一人ぼっちです。ひとりでは絶対にできないことに挑戦してみよう「ワンピース(財宝)」を手に入れようと途方もないことを言うからゾロやサンジなどの仲間が協力してくれるのです。ひとりではできないことをゴールにしているからです。そう言う大きなゴールつまり「志」を持つことができるとその子は大勢の仲間と協力しながら生きていくことになります。

子どもの気持ちが聞けない。子どもの希望を夢にする。子どもの願いをみんなで叶えるようにする。教師の、、、親の導き方にはいろいろありますが、この差は非常に大きいのでぜひじっくり考えてみることをお勧めします。