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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』39
大気を汚してプラネタリウムを見る

 2024年3月1日

 


カウンセリング室の椎名雄一です。
日々皆さんとメッセージのやりとりをさせていただいたり、カウンセリングをする中で気づいたことや傾向などをこのコーナーでお伝えしています。

自然の中でまだ日が出て間もない時間帯に空を仰ぐ。
空の青い色や吸い込むだけでエネルギーが増していくような新鮮な空気を吸う。
そうやって「元気」を回復したことがある方は結構いらっしゃると思います。

ある意味では「当たり前のこと」です。

動物が水浴びをする。カメが甲羅干しをする。詳しい仕組みなどを理解して引用しているわけではありませんが、恐らく「当たり前のこと」のように感じます。多くの動物が生まれてきた赤ちゃんを一生懸命に育てる。夜中に空を見上げれば星がたくさん見える。恐らく「当たり前の何か」があるから人間のように難しく考えなくても(何も考えなくても)そう言うことになっていることはたくさんあります。

大気を汚せば「新鮮な空気」は森林や離島などにいかないと吸えなくなります。空が汚染で曇っていたり、夜中の街が明る過ぎれば星は見えません。そこで人間は「森林浴ツアー」をしたり、「酸素カプセル」「プラネタリウム」などを作ります。壊さなければそこにあったものをサービスとして再生します。

昔はおじいちゃんとおばあちゃんが孫に「友だちを大事に」「地域の言い伝え」「人生訓」などを伝えてきたかもしれません。地域の人が「お祭り」「行事」などを通して繋がってくれていました。現代の家族は核家族化していますから、場合によってはそれらを「タイパが悪い」「老害」のように排除して、スマホで調べれば良いとなりました。

自己肯定感の根っこは「私がこの家族の子どもであること」からはじまります。親を否定すればSNSからそれにあたるものを得なくてはなりません。親族や祖先を否定すればSNSからそれを代わりに見つけてこなくてはならないのです。代々続いている歌舞伎の家の子、農家の子、伝統文化を継承している子は「一族」「歴史」を誇りに思っている間は自己肯定感のベースは「私」ではなく「われわれ」になります。それは歌舞伎などでなくても「我が家」で充分です。

大自然の星空の代わりがプラネタリウムだとして
親や親族、祖先からのつらなりの代わりは何でしょうか?「TikTokやYouTubeで流れてくるインフルエンサーのありがたそうな言葉」でしょうか?それで足りるのでしょうか?

教育はプラネタリウムになっていないでしょうか?
親子で一緒に悩んで乗り越えればよかった。毎日会話をたくさんすればよかった。
助けを求めたり、誰かに相談すればよかった。当たり前の家族、地域の人間関係の中にあったものを否定して「学校にお任せ」「カウンセラーなんだからできるはず」と丸投げをしてしまう。
「通信制高校に入れれば何とかなるはずだ」という安易な発想はプラネタリウムがダメだからVRにすればいいのではないかという発想に似ている気がします。プラネタリウムもVRの映像も「夜空」ではないのです。

不登校の解決の鍵は「お子さんの心」にしかありません。
自己肯定感を高めて、人生を楽しく生きるには「そういう家族」を作るしかありません。
もちろんそれが難しい場合のために色々な方法はあります。でも原点、まず目指して欲しいのはそこです。

「お子さんの心」を無視して、代わりに「通信制高校」は
「大気を汚して」空を見えなくして「プラネタリウムを見る」にとてもよく似ています。

さまざまなものが
代替えの似ているもの(かなり劣化したもの)に代わっていっていますが、「お子さんの人生」はそうあってほしくないですし、「皆さんの人生」「家族」「私たちの幸せ」も同じ気がします。