椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』63
子どもの理不尽な要求とどう向き合うか
2025年6月6日
![]() |
子どもが不登校や引きこもりの状態になると、どうしても親に向かって怒りや不満、理不尽な要求をぶつけてくることがあります。 最初はそれを「受け止めてあげなきゃ」と思っていたけれど、 何ヶ月も、何年も続くうちに、親の心はすり減っていきます。
「無理難題ばかり言われる」
「暴言や暴力まで出てくるようになった」
「もう限界。でも、どうしたらいいかわからない」
そんなふうに感じている方もいるのではないでしょうか。
私の元にも、こうしたご相談がたくさん寄せられます。
「自分が我慢すればいい」「子どもが苦しいのはわかってる」
そうやって耐えてこられた方ほど、限界が近づいていることに気づけなかったりします。
でも、まずお伝えしたいのは、「限界を感じているあなたの感覚は、間違っていない」ということです。理不尽な要求や暴言暴力を受け続けて、心が壊れそうになるのは当然です。
子どもがぶつけてくる怒りや不満の正体は何でしょうか?
お子さんの無理難題の正体は「何か動きたい」「何か変えたい」という気持ちの裏返しではあります。その気持ちはとても大事です。「変わりたい気持ち」などを100%受け止めて何とかしようとした上で一緒にやれる方法を考えていく。
「そんなに自由になるお金はない」
「そこまで時間を割くことはできない」
「親を攻撃するならば助けられない」
これは実行する上で「無理なこと」ですね。お子さんが「1億円のマンションが欲しい」「魔法が使えるようになりたい」と言ったら「それは素敵だけれど無理だね」となります。それはお子さんを突き放していることになるでしょうか?おそらくならないのではないかと思います。
そう、こうした対応をするのは、決して「子どもを突き放す」ことではありません。
理不尽に見える要求や怒りの裏には、
「変わりたいけど動けない」「どうしたらいいかわからない」
そんな子ども自身の苦しさが隠れています。
その苦しさを受け止めたり、希望があること・欲しいことに共感することは大事ですが、それを親が叶えられることについては別です。
どんなビジネスでも営業時間があります。
それが終われば、それ以降はプライベートな時間となり、その人なりにリラックスをしたり、自分自身のために時間を使います。その自分のためと社会のためのバランスは大事ですよね。
親子だとそれが見えにくくなってしまいますが、親の時間はこの範囲と決めて、寝る前の30分は私の時間。自由にできるお金の1万円は私のお金。
この趣味を続けるのは私のため。と親子といえども親が自分の人生をする最低限を確保して関わることが大事ですね。
お子さんが赤ちゃんの頃はそうはいかない時期があったかと思います。でも逆に20歳くらいになったら親の役割は0にならないとお子さんは自立しませんので、その意味でも境界線をしっかりと設けていくことを意識したいですね。