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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』69
「聞く力」で子どもの心をひらくコミュニケーションのコツ

 2025年10月2日

 


こんにちは、カウンセリング室の椎名雄一です。

保護者の皆さんから寄せられるご相談の中で、「子どもと話が噛み合わない」「何を考えているのかわからない」というお悩みをよくお聞きします。中には「ちゃんと話を聞いてる?」と子どもに言われてドキッとした、というお母さんもいらっしゃいました。今回は、子どもとの信頼関係を築くために大切な「聞く力」についてお話しします。

親はつい、伝えたいことを先に言ってしまいがちです。「宿題はしたの?」「明日の準備は?」「そんなんじゃダメでしょ」。もちろん大事なことですが、子どもからすると「どうせ聞いてくれない」と感じてしまい、心を閉ざしてしまうことがあります。

子どもの心に寄り添う第一歩は、「話してくれている内容を否定せずに受け止める」ことです。たとえ愚痴や文句でも、「そうなんだね」「そんなふうに感じていたんだね」と共感するだけで、子どもの表情が変わります。「正しいかどうか」ではなく、「聞いてもらえた」と感じることが大切なのです。

例えば、小学生の子が「学校なんて行きたくない」と言ったとき、多くの親は「行かなきゃダメでしょ」と返してしまいます。でもその前に、「行きたくないくらいしんどいんだね」と言ってみてください。それだけで次の言葉が出やすくなります。

中学生や高校生は特に、「どうせ否定される」と感じやすい年頃です。だからこそ、「そんなふうに思ってたんだね」「教えてくれてありがとう」と伝えることで、少しずつ心を開いてくれるでしょう。反発されたり無視されたりすることもあると思いますが、その時は「話したくなったら聞かせてね」と伝えて、こちらは構え続けることが大切です。

聞く時のポイントは次の3つです。

・相手の言葉を最後まで遮らない
・途中でアドバイスや説教を挟まない
・うなずきや相づちで関心を示す

特に、毎日短い時間でも「聞く時間」を持ち、続けることが大切です。無理のない範囲で、例えば「5分だけでも話す時間を作る」と決めると、お互いに習慣化しやすいです。

逆に、NGな聞き方は「だから言ったでしょ」「でもそれは違う」という否定から入るパターンです。これを繰り返すと、子どもは本音を話さなくなります。

小学生の低学年なら、「どこが嫌だったの?」「どうしたかったの?」と具体的に問いかけてあげると話しやすくなります。高校生なら、少し距離を置いて「話したくなったらいつでも聞くよ」とタイミングを委ねるのが良いです。

学校の先生方にとっても、「聞く姿勢」は重要です。クラス全体の前ではなく、放課後や廊下でのちょっとしたタイミングで雑談ができるチャンスを作ることが大事です。ここで「悩み事をどうぞ」という聞き方をしてしまうと「悩んでいると思われている」となってしまうので、「ちょうど話があったので、良いですか?」と子どもが言いやすい隙がある雑談をするのがおすすめです。
(ほら、、今がチャンスだよ)と言葉に出さずに空気で伝えるくらいがちょうど良いと言えます。

子どもにとって「自分の話を聞いてくれる大人がいる」というのは大きな支えです。聞いてもらうことで、自分の気持ちを整理できる子も多いものです。

保護者の皆さんの「聞こう」という姿勢は、必ず伝わります。焦らず少しずつ、子どもが安心して話せる空気をつくっていきましょう。お子さんが「聞いてくれる人がいてよかった」と感じ、笑顔で話してくれる日が増えることを、心から願っています。