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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』74
兄弟姉妹へのフォロー 〜不登校の影で頑張るもう一人の子ども〜

 2025年4月20日

 


こんにちは、カウンセリング室の椎名雄一です。

不登校の子どもを見守る日々の中で、保護者の皆さんが抱える悩みの一つに「兄弟姉妹への対応」があります。不登校の子のサポートに精一杯で、ついもう一人の子どもを後回しにしてしまい、「寂しい思いをさせていないだろうか」「本当は辛いのに我慢しているのではないか」と感じる方も多いのではないでしょうか。

不登校になる子がいると、どうしても家庭の空気はその子を中心に回るようになります。「また行けなかったの?」「今日はどうするの?」というやり取りが毎日続き、兄弟姉妹はそれを聞きながら自分の気持ちにフタをしてしまうことがあります。

あるお母さんが話してくれたことがあります。「上の子が不登校になったとき、下の子がすごくお手伝いをするようになったんです。『ママ、大丈夫?』って声をかけてくれたりして...。すごくいい子だな、と思う一方で、『本当は寂しいのかな』という不安もありました」。

そうなのです。兄弟姉妹は、親を困らせないように頑張ったり、自分の気持ちを飲み込んだりしてしまうのです。そしてそれが長く続くと、自信を失ったり、嫉妬や怒りを抱え込んだりしてしまうこともあります。

では、兄弟姉妹にどんな関わりができるでしょうか。

まず、大切なのは「あなたも見ているよ」というメッセージを届けることです。不登校の子にかかりきりになる日々の中で、ほんの一言でも構いません。「いつもありがとうね」...そんな短い言葉でも、子どもは安心します。

次に、「一対一の時間」を意識して作るのも効果的です。下の子や上の子と一緒に近所を散歩したり、買い物に行ったり、寝る前に数分だけでも話をする時間を取ると、親を独り占めできる感覚がうれしいものです。どんなに短くても「あなたも大事だよ」という気持ちが伝わります。

コツは兄弟それぞれ好みや性格が違いますから、それに合わせた言葉遣い、話題を選ぶことです。同じように接するのではなく、違うように接することで「自分向けのメッセージだ」と伝えることができます。チョコレートケーキの話は上の子の話。パンケーキの話は下の子の話。のように好き嫌いによって、「自分の話題だ」と気づいてもらうことはできます。

不登校のお子さんはちょっとした言い回しでも気になってしまったり、自分の時間が兄弟に取られたと思うと気分を悪くしたりすることもあります。そんな時には「チョコレートケーキやパンケーキがさ」という言い方をするだけで、それぞれが自分の話題だと感じるものです。そんなあえて、好みの違いを使った言葉選びをすると自分の近くで話してもらえたようが感覚を持ってもらいやすくなります。

また、兄弟の対応で大事なのは「前提」です。

「学校に行かないのが楽でいい」という前提が家の中にあると不登校が連鎖します。でも、実際は「学校に行かないのが楽でいい」のでしょうか? コロナ禍で外出したくて仕方がなかった人たちがいます。私たち大人も多くは毎日家の外に出かけて行って何かをしてきます。毎日、家にこもっているのはあまり楽しいものではありませんね。

しかし、ゲーム三昧をやりながらお菓子を食べて、外の世界のことを忘れてしまったら、「学校に行かないのが楽でいい」になってしまいます。

そのためにも「外出は楽しい」「友達は楽しい」という「前提」を大事にしたいです。不登校ではない兄弟が外出をしたいという時にはそれが十分に楽しめるようにサポートをしてあげてください。世間にはゲームより楽しいことは無数にあります。保護者の視野が狭くなり、英語数学国語のようなことしか言わなくなり、勉強VSゲームのような図式になったら、家でゲームしているのが楽でいい。楽しいとなってしまいます。でも、ゲームよりも楽しいことはたくさんありますよね。その前提を崩さないように注意してください。