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椎名雄一先生コラム『不登校に効く心理学の話』75
パートナーとの足並み 〜夫婦で対応が違うときどうする?〜

 2025年5月11日

 


こんにちは、カウンセリング室の椎名雄一です。

不登校対策は夫婦の教育方針の差や見ている景色の違いが出やすいものでもあります。

「夫は厳しくすべきだと言うけれど、私は寄り添いたい」「妻は甘やかしすぎだと言うが、自分は今は見守りたいと思っている」...。不登校の子どもへの対応について、夫婦の意見が合わずに悩んでいる保護者の方も多いのではないでしょうか。
家庭での空気を整えるには、まず保護者同士が同じ方向を向くことが大切です。今回は、夫婦で足並みが揃わない時の考え方と、話し合いのヒントをお伝えします。

不登校は、親にとっても大きなストレスです。親自身が「どうしていいか分からない」という不安を抱えたまま、子どもの態度にイライラしたり、自分を責めたりしてしまいがちです。そんな中で夫婦それぞれの価値観が表れ、「甘やかしすぎだ」「もっと厳しくしないとダメだ」と意見が食い違ってしまうのは当然のことです。
なぜなら、それぞれが「子どもを良くしたい」という思いから出た言葉だからです。まずは「相手も子どもを思っての言葉なんだ」という視点を持つことが大切です。

では、具体的にどう話し合えばよいのでしょうか。

①相手の言葉を否定しない
意見が食い違うと、「それは間違ってる!」と否定してしまいがちです。しかしそれでは、相手も身構えてしまい、険悪な空気になってしまいます。「そういう考え方もあるよね」「どうしてそう 思うの?」と、一度相手の気持ちを受け止めるところから始めましょう。相手が落ち着いて話せる雰囲気を作ることで、お互いの考えの背景が見えてきます。

一般的にお母さんは次の1歩を探していて、お父さんは50歩先の話をしていることが多いです。
どちらも間違ってはいませんが、お母さんが先に対応して、お父さんに繋ぐというような連携をとるとうまく行ったりします。ここでお父さんを否定してしまうと、1歩目は良いのですが、20歩目30歩目と話が進んでくるにつれて失速してきます。お父さんにパスが出せないからです。否定をせずに協力できるかどうはか非常に重要なポイントです。

②共通の目標を確認する
夫婦で意見が違っていても、「子どもが元気になることを願っている」というゴールは同じはずです。そこで「子どもが今よりも安心できる環境にするために、どうするのがいいだろうか」という形で話し合うと、感情的になりにくくなります。

ここでよく引っかかるのが親子の分離ができていない場合です。「子どもが安心できること」を話しているのに分離ができていないと親の不安や焦りが混ざってしまいます。患者さんがいて医師と看護師がいたら、患者さんを元気にする方向で医師と看護師は協力できますよね。でも、親子の分離ができていないとそんな医師と看護師のようにクールに対処できないのです。

③お互いにできることを決める
一方が「こうすべきだ」と押しつけるのではなく、「自分にできるのはこれ」「あなたにお願いしたいのはこれ」と、役割分担を決めるのも一つの方法です。例えば、母親は子どもに寄り添う担当、父親は学校との連絡を担当、といった形で、それぞれが無理のない範囲でできることを決めると負担感も減ります。

④完璧を求めすぎない
夫婦で完全に意見が一致することは少なく、対応の仕方も多少違っていて構いません。大切なのは、どちらか一方のやり方に無理に合わせることではなく、子どもが「自分を見てくれる大人がいる」と感じられることです。
それぞれの接し方に温度差があっても、家庭が安心できる場になっていれば、それで十分です。
夫婦で足並みが揃わないと、つい相手を責めたり、孤独を感じたりしがちです。でも、それぞれが子どものことを大切に思っているからこそ生まれるすれ違いです。お互いの思いを受け止めながら、少しずつ歩み寄ることで、家庭の空気が変わっていきます。

不登校対策は
お子さんに学校のクラスメイトと協力し合いなさい
というような側面があります。夫婦が協力し合えていないとそのメッセージは伝わりにくいですよね。こうやって、意見が完全に一致していなくても協力し合うことができるお手本を示せると理想 的です。

最後に夫婦の形にもいろいろあります。事情があってそれが難しいご家庭もあります。上記のことができれば不登校対策としては少しやりやすくなりますが、必ずしもそれだけではありませんので、それが難しいご家庭では別の方法を模索していくことも大事かと思います。(一般論として記事を書いていますので、ご了承ください)